41 ページ41
.
「もう始まっちゃった」
行ける！なんて言ったものの、あんまり道も覚えていない状態で右往左往しながらやっと辿り着いた頃には打ち上がる花火たち。
「綺麗だけど…」
まさか、ひとりで見ることになるとは。
9人で見に来たはずなのに。寂しすぎる。
「浴衣だけど…」
ウジに言われた待ち合わせしてた場所から少し外れた芝生の上に座る。
「はあ、やっと座れた。下駄痛すぎる」
可愛いねって言われたくて着てみた浴衣だけど、と
下駄をずらして痛い足の箇所を見てみると
「やっぱり、、靴擦れしてる」
わいわいしたお祭りを行き交う人たちの楽しそうな声の中、ひとりぽつんとして花火を見てる私。
どこにいるのか連絡しようとカトクを開くけど、誰からもカトクは来ていなくて。
今頃みんなで見てるのかな、と思うと電話をするのにも気が引けた。
「一緒に見たかったな〜」
みんなと、
ジュンくんと。
しばらく座りながら花火を見上げていたけど、どんどん時間が過ぎて肌寒くなってきて
「…帰ろう」
痛む足でまた下駄を履く。
頑張ってメイクしてみたから、ジュンくんの好みかなって時間をかけて選んだ浴衣だったから。
一緒に写真撮りたかったな。
…そんなこと思う日が来るなんて。
ため息の為に息を吸う瞬間、
ジュン「Aちゃん…！！」
後ろから大きく聞こえた声に立ち止まる。
ジュン「、ごめんっひとりにさせちゃって」
膝に手を置いては大きく息を吸って吐いてを繰り返す。
額に汗を滲ませながら、
ジュン「泣かないで」
ジュンくんの言葉で気づいた。
私、泣いてる…？
ぼやけた視界の中、溢れた涙をすくうように優しく指で拭いてくれるから
「待ってたの、」
…ジュンくんに会いたくて。
ジュン「ごめんね」
焦った表情のジュンくんは私が芝生に座っていたころ、待ち合わせ場所で必死に私を探してくれていたみたいだった。
ジュン「Aちゃん、帰ろう」
ジュンくんから自然に繋がれた手に、溢れそうになる気持ちを抑えながらゆっくりと歩いた。
.
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←40
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 746人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tea | 作成日時：2021年11月25日 14時
