怪盗ラストVS我々だ!Ⅵ【d!】 (ページ49)

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番外編　贈り物ページ49

｛Aside｝

グルッペンに呼び出された俺は、多少怯えながら警察署へ向かった。

何したっけ。心当たりが多すぎてどれのことだかわからない。

メイド喫茶でコーヒーの中に酢を入れたことか…？

それとも、再会のお祝いに前回よりも一回り大きい超巨大クラッカーを鳴らしたことか？

あれで警察署の三分の二が破壊され、後片付けが大変だった。

誰だよッ!!あんなバカデカいクラッカー作ったの!!←くられ先生とAです。

新しい木の匂いのする警察署へ足を踏み込むと、シャオロンに出会った。

「あ、Aやん。どしたん？」

俺に気付いたシャオロンが小走りでこっちに来た。

「グルッペンに呼び出されたんだよ」

「A何したん？」

「それが心当たりが多すぎて…」

「…ドンマイやな」

そろそろ行かないとグルッペンに怒られてしまうと思い、シャオロンに別れを告げてその場を去る。

ふと、思い出した。

そういえば、シャオロンの誕生会が最近行われ、丁度その時、俺は別の件でこの街を離れていたからお祝いできなかったんだ。

ロボロ君からそのことを聞いていたからプレゼントも用意したんだが…結局渡せなかった。

今なら、渡せるな。

「シャオロン」

名前を呼んでシャオロンに近付く。

「なんや？」

振り返ったシャオロンの頬に、ちゅっとキスをした。

「へっ…？」

ぽかんとする彼に微笑んで、

「Tous mes vœux pour votre anniversaire.」貴方の誕生日にめいいっぱいの祝福を。

俺は総統室へ向かった。

「ッ～!!可愛すぎるやろ…!!」

なんて言葉は聞こえないフリ。

「あぁ、やっと来たか」

「おう、グルッペン。遅くなってすまないな」

総統室の扉を開けると同時にグルッペンに話し掛けられた。

返事をして、中に入る。

「で？俺を呼んだ理由は？(震え声)」

未だに何が原因なのかわからない俺は怯えている。

「何をそんなに怯えている。べつに取って食ったりはしないゾ」

フッと笑いながらグルッペンは机の引き出しを開けた。

グルッペンはそこから真新しい白い小さな箱を取り出す。

「それは？」

聞くと、彼はそれを持って俺の前まで歩いてきた。

「Aに再会したら渡そうと思っていたものだ。なかなか渡す機会が無くて…。

受け取ってもらえるか？」

眉をひそめて不安気に俺を見つめる紅い瞳。

「…勿論。受け取るよ」

俺は微笑んでその箱を受け取った。

中を見ると、月を象った銀色のネックレスがキラキラと輝いていた。