怪盗ラストVS我々だ!Ⅵ【d!】 (ページ32)

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Ⅳ-82個目　皆を守れるのならページ32

しかし、シュヴァルツは？

彼はあの後どうなったか？

それは、彼に聞くといい。

俺は、グルッペンを見つめた。

【グルッペンside】

Aがさっき教えた話に出てきた、シュヴァルツという天使。

彼は、シュヴァルツは、…俺だ。

シュヴァルツという天使の生まれ変わりが、俺なんだ。

シュヴァルツは、天敵である悪魔との交流がバレ、死刑となった。

天使が死ねば、必ず人間に生まれ変わるらしい。

だから、俺になった。

彼は死にながら願った。

“アインスとまた会いたい”と。

それは見事に叶い、俺はアインス…Aと巡り会えた。

「…A」

すぐ隣にいる、大切な女性を見つめる。

「ふはっ、何て面してんだ。らしくねぇぞ」『もっと笑ってくれ、シュヴァルツ』

「うっさいわ。お前こそ泣きそうな顔して」『君こそ…笑ってくれよ、アインス』

二人で笑い合う。

あまりにも、残酷な運命がこれから始まるから。

今は、この瞬間を楽しみたいのだ。

そうだろう？A。

｛Aside｝

悪魔は、悪魔同士では殺せない。ただ傷付くだけ。
でも、アインスはシュヴァルツの力を借りて悪魔を殺そうとした。

そして、目の前には悪魔のレアルカ。
隣には天使の生まれ変わり。
俺は、悪魔の生まれ変わり。

大丈夫。覚悟はしてた。

そうじゃなきゃ、ここには来てないよ。

『…A、本当に良いんだな？』

アインスが話し掛ける。

＿＿あぁ。これで皆を守れるのなら、後悔はない。

『…すまない。本当に、すまない』

＿＿アインスが謝ることじゃねぇよ。そもそも俺は、お前の生まれ変わりじゃんか。

『…だが…』

＿＿いいから。気にしないから。早く。

『…あぁ…いくぞ…!!』

「リベラシオン」

そう呟くと同時に、体から力が抜ける。

意識も薄れてきて、俺が覚えているのは

「＿＿＿ごめんな、皆」

皆の、俺の名前を呼ぶ声と

悲しさで俺の心が押しつぶされそうなほどの、グルッペンの今にも泣きそうな表情。

俺は、最初で最期の涙を流して、微笑んだ。

【グルッペンside】

「リベラシオン」

そう呟いたAの体から力が抜ける。

俺はAを受け止めて、悲しさに耐えた。

「A!!」

「Aさん!？」

「Aちゃん…!!」

皆が不自然に倒れかけたAの名前を呼ぶ。

「っ……ぅっ…A…」

込み上げる涙に耐え、Aを呼ぶと、彼女は微笑んで

「＿＿＿ごめんな、皆」

一粒の涙を流した。