怪盗ラストVS我々だ!Ⅵ【d!】 (ページ31)

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Ⅳ-81個目　純白を知らない悪魔と穢れを知らない天使ページ31

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「ハァッ…!!!!」

レアルカの周りに緑色の炎が出現する。

さらに、レアルカの背後の空間がぐにゃりと歪み、＿＿悪魔が顔を覗かせた。

「っ!!!」

皆が武器を構える。＿＿俺とグルッペンを除いて。

「…グルッペン、」

もう一度声をかけて、振り返った。

「……」

グルッペンは無言で俺に近寄る。

「ん、」

差し出された彼の手を、握った。

男らしい、大きな手。

こんなにも成長したのか、なんて呑気に思っている暇は無いけれど、いいじゃないか。

これが、最期なのだから。

二人でレアルカを見つめる。

レアルカの頭に角が生え、背中からは真っ黒な翼、腰からは翼と同じ真っ黒な尻尾。

「やっぱり、あいつは」

グルッペンが言葉を切る。

「あぁ。＿＿悪魔の王、サタンの子供だ」

あいつの正体は、それだった。

ここで、ちょっとした秘密を皆に教えようか。

俺は“君達”に話し掛ける。

最強最悪と言われた白銀の悪魔＿＿アインスは、友達がいた。

何があっても守りたいと、心の底から思っていた友達が。

名を、シュヴァルツ。

彼はとても綺麗な金髪と、青い瞳を持っていて、純白のローブがよく似合っていた。

ある日、シュヴァルツは言った。

『悪魔と共に戦わないか』と。

そう。彼は天使だった。

生まれながらに純白を知らない悪魔と、生まれながらに穢れを知らない天使の、友情のお話。

何がどうして悪魔と天使を友達にしたのかは、神しかわからないことだったが、二人は気にせずそれなりの付き合いをしていたのだ。

シュヴァルツの言葉に、アインスは戸惑った。

『悪魔は、悪魔同士で戦っても傷付くが殺せはしない。
それに…あれでも私の仲間なんだ。天使達があいつらを殺すにしてもあの炎で…
できれば苦しめたくない…』

それがアインスの本音だった。

そこでシュヴァルツが提案したのは“自分の天使の能力をアインスに貸すこと”。

これなら悪魔を殺すことができるし、天使の炎で苦しむこともない。

そのことを承諾したアインスは、早速自身の仲間を殺そうとした。

が、アインスは心の優しい悪魔だった。

あれほど嫌いだった悪魔にも、一緒に暮らせば情が移る。

だからアインスは、半殺しにした。

せめて、天使の炎で長く苦しまないように。

早く死ねるように。

それからは、“君達”がご存じのように、アインスは生まれ変わった。

俺という、一人の人間に。

これでアインスの生涯はおしまい。これからは俺が作っていく。