怪盗ラストVS我々だ!Ⅵ【d!】 (ページ4)

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Ⅳ-54個目　腐敗した肉と血の臭い、ラベンダーの香りページ4

これではレアルカに近付くどころかAとハルを助けることもできない。

「お前らはそいつらの相手をしていろ。まず、このうるさい女を片付ける」

レアルカはジリジリとハルに歩み寄る。

「くっ…!!」

剣を構え、斬りかかるハルだったがレアルカがハルを殴り飛ばす。

「ガァッ…!!」

口から血を吐きだして、苦しみに耐えるハル。

「ハルちゃん!!ハルちゃん!!」

ルディがこっちに来ようとするも、ゾンビによって行く手を阻まれ、近付けない。

ゾムもキヨもトントンも、皆目の前のゾンビで手一杯で誰かを助けられる状態では無かった。

レアルカは転がってもがき苦しんでいるハルの腹部目掛けて蹴りを何回も入れた。

「ぐぅっ…ぁ、っ…」

ひたすら痛みに耐えるハルに、何処から出したのか剣を持つレアルカ。

ハルは意識が朦朧としていて起き上がることもできない。

つまり、ハルが死ぬということを表していた。

「＿＿さよなら、Aの親友」

全員がハルの名前を呼ぶのと、ハルが刺されるのはほぼ同時。

・

・

・

の、はずだった。

・

「なっ…!!」

今まで余裕そうだったレアルカが初めて、動揺する。

「えっ？」

「はっ？」

「ま…え、は…？」

レアルカだけではない。

この場にいる、全員が動揺した。

レアルカは、自分の下にいたはずの目障りな女が消えたこと。

我々警察と怪盗ラスト達は、目の前にあんなにいたはずのゾンビ共が頭の上半分を抉られて一掃されていたことに動揺していた。

辺りに残るのは腐敗した肉と血の臭い、そして、

ラベンダーの香り。

バッとレアルカが振り向く。

そこへ全員の視線が注がれる。

フワッと広がる黒いマント、

雪のように美しく舞い散る青がかったような金がかったような白髪の髪、

そして、この空間に流れている重く纏わり付くような空気が消え去るほどの穏やかで優しい気配が辺りを支配した。

とっ、という軽い音と共に舞い散っていた髪の毛と黒いマントが嘘のようにゆっくりと翻った。

誰もがその光景に目を奪われる。

“彼女”の腕の中には、桃色の可愛らしい少女、ハル。

ハルの小さい唇が、フルフルとしながら開いて、その名前を呼んだ。

「、A……」

全員に衝撃が走った。

さっきまでAは…いや、“今”もAはレアルカの腕の中にいるのに

全く別の場所にAがハルを横抱きにして片膝を立ててしゃがんでいたから。