5 ページ5
春も過ぎて少しだけ過ごしやすい時期になった。
窓の風がそよそよと入ってくる部署で書類を確認しているとドアが開いて人が入ってきた。
「失礼しますであります！」
元気な人だな
誰だ？
チラッと見てみたが知らない奴だった。
「この書類を企画課に提出してくださいとの事でして
どちらに出せば」
席から立ち対応に行くかと足を動かすと隣を宇原さんが通り過ぎて行った。
足を止め彼女を見るとまるで知り合いかのように話しかけている。
嬉しそうに走っていった彼女は謎の男に「お久しぶりです」と声をかけていた。
知り合いか？
少しだけ、俺の知らない彼女が居た気がした。
「すいませーん。書類は俺に見せて下さい」
なんかモヤってしたな
隣に行き書類を受け取ると書類の上に佐久間と名前が書いてあった。
「…あー、あんたが佐久間ね」
「えぇ！？知ってるんですか！？」
「知ってる知ってる。康二から話聞いた。
…書類は……まぁいいか。
んで？2人は知り合い？」
書類から目を離して声をかけると隣にいる彼女は頷いていた。
「頷くなら声出せ」
彼女の耳を少しだけ抓ると「やめてください」と言って俺の手を掴んできた。
小さい手だな
俺よりも小さい
「Aさんとは、前の会社が一緒なんですよ」
「へぇー、ニエベなんだ。」
「はい」
この男俺と歳が近そうだな。
「ねぇ、あんた92年生まれ？」
「92年…すね！」
「じゃあ、同い歳だ。いいよ、タメで」
「！あざっす！！」
「声でか」
なんだ、同い年か
じゃあ、タメでいいか。
同い年あんま居ないしここ
佐久間と俺が話すのを見ていた宇原さんは俺ら2人を交互に見たあとクスクスと笑っていた。
「何笑ってんの？」
「え、いや。仲良くなりそうですね」
「まだ友達いないあんたには早かったね」
「酷いですよ、渡辺さん」
だって、いまだに1人でいるじゃんか
いつも、1人で休憩中も居るし
ご飯も1人だ。
「じゃあ、俺と友達なろ」
佐久間が宇原さんにそう声をかけていた。
友達
…友達か
「宇原さん俺とも友達なる？」
「…友達ってそういう感じでなりますか？」
「いや、もっと自然だと思う」
クスクスと笑う彼女はどこか楽しそうだった。
友達って…こんな気持ちなるか？
佐久間が俺ら今日から友達だと言う中
どうも胸の奥に引っかかりがある。
いい後輩
真面目な後輩
ただそれだけだろ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル春(プロフ) - よちよちさん» 返信遅くなってしまいすみません！コメントありがとうございます。らしく書いてあるかいまだに考える時はありますがそう言って下さりとても嬉しいです。ありがとうございます。 (12月10日 19時) (
レス) id: ba10b9968b (このIDを非表示/違反報告)
よちよち(プロフ) - 更新ありがとうございます。続きがいつも気になります😆ここにでてくる翔太いいですね (10月10日 4時) (レス) @page47 id: 4e991b48a4 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - よちよちさん» コメントありがとうございます！返信が遅くなりすみません。イメージに近いものがあると聞いて凄く嬉しく思います。これからも更新頑張っていきますね！ありがとうございます。 (8月31日 10時) (レス) id: ba10b9968b (このIDを非表示/違反報告)
よちよち(プロフ) - 初めてコメントします。この作品面白いです。翔太くんのイメージに近い物があり、読んでて面白いです。続き楽しみにしています。 (7月2日 7時) (レス) @page32 id: 746b6e9ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - 傘さん» コメントありがとうございます！初めての渡辺さんでまだ不安でいっぱいですがかっこよく書けるように頑張ります。これからも、少しずつになると思いますが更新していきますね。 (2023年3月28日 23時) (レス) id: ba10b9968b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハル春
| 作成日時：2023年3月27日 23時
