抱き寄せて愛して 3 【緑】

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真夜中12時半ごろ玄関の扉をゆっくり開けた。


…デコピンって言ってたな


寝てるよね？


真っ暗な玄関に入り鍵を閉めてため息を吐くとリビングの扉が開く音がした。

…え？


振り返るとネクタイを外したシャツ姿の阿部さんがそこにはいた。



「…お風呂入ってなかったんですか？」

驚いてそう声に出すと彼は私の傍に来ておでこにパチンっとデコピンをした。


「いっ、…た」


なんか脳揺れたような気がする。

ジンジンと痛くて薄ら涙が浮かぶ


怒ってる

無言は怒ってる


「、ごめんな、さい」


「無理しすぎると倒れるよ」

怒ってるよ

彼の顔を見れない


私が怒らせたのに


「…ごめんなさい」

「謝らなくていいから。
A、こっち向いて？」


無言で首を横に振ると彼は私の腰に触れて抱っこした。


足からパンプスがカツンっと落ちる。


目から大粒の涙が溢れてきて頬をつたう。



バッグも床に落ちてしまった。



「…ぁ、ごめ」


「謝らなくていいよ。

頑張ったね、仕事。


…一人前はもうなってるから。
体だけは壊さないでね」


彼の頬に私の涙が落ちたのが見えて指で拭こうとしたら彼は私の頬にキスをした


「….、汚いですよ？」

「汚くない。
一緒にお風呂入って寝よう」

「……お風呂」

「……恥ずかしい？」

「…はい」

「大丈夫。俺もだから」


床にゆっくり下ろされると頭を撫でられた。

…彼も疲れてるはずなのに

いいのかな


しゃがんで私の荷物を拾う阿部さん

靴も綺麗に整え私の手に触れた。

「…明日は休みだからAとずっといたい」

「……阿部さんお疲れですよね？」

「ハグしたら無くなった」

「嘘だ。」

「ほんと」


クスクス笑いながら寝室に行きお風呂に入る準備をする。


脱衣所の方に行くと彼はシャツを脱いでいる時だった。


「おいで？」

「…なんか急に恥ずかしくなってきました」

「可愛い」

「……阿部さん、後ろ向いてください。」

「彼氏なのに？」

「恥ずかしいんです」

「じゃあ、Aから先に入ってて？」

「……え？」

「俺もあとから入るから。ね？」


脱衣所の外で待ってるねと言って出ていった彼

…え、私先に入っておかないといけない。


服を脱ぎ浴室に向かう。


体や頭を洗い浴槽に浸かると脱衣所のドアが開く音がした。


服が擦れる音がする


恥ずかしくなり顔を手のひらで隠して浴槽の隅にいると扉が開く音がした。

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