お見合い相手の岩本さん 【黄】

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仕事も休みの土曜日


カーテンを開け窓を開けて空気の入れ替えをし

洗濯機が終了の合図を出すまでの間、本を読んで待っていた。

これは一人暮らしの醍醐味だよ。

1人だから何しても大丈夫だし


静かだし何時まで寝てもいい


洗濯機が回る音と本のページをめくる音だけがなる中ピロンっと携帯の音がした。

メールかな？

本を置いて携帯を見ると友人からだった。


『ごめん！今大丈夫？？』


珍しい何かあったか？


『大丈夫だよ』と返信をすると既読の文字かついたのと同時に着信音がなった。


「はい、矢笠(やがさ)です。」

『A！久しぶり』

「うん。久しぶり」


最近よく聞くのは急に連絡して勧誘してくるとかなんとか言ってたよな。

学生の時も講義の内容で聞いたな


でもな、数少ない友人の誘いを断るのはな。
だが、勧誘だけは


『あのさ、頼みがあって』

「ん？」

『私の代わりにお見合い受けて！』

「……は？」




勧誘ではなく違う方の勧誘のような

え？どういうことだ？


携帯を持ってない方の手で顔を隠してみてもこれは夢ではなく現実だし


「…お見合い？」

『そうお見合い！
私さ、大学の時からサークルの先輩と付き合ってるんだけど
お母さんが見合い話を持ってきて！

断ろうと思ったけどもう相手にはお見合いするって伝えたらしくてさ』

「それに、私をと」

『だってA、いつも休日、家にいるじゃん！
少しは出会いを求めなよ』

「いや、だからって」

『お願い。』


お願いって

いや、私お見合い受けるとかそんな予定なかったのに


断ろうと思っても友人の事を考えると言い難い


私は1度息を吐いた。

「分かったよ」

『ほんと！？ごめんね！』


良い人らしいからさと友人が続けるが別に結婚も考えていない。


ただ普通にお話して会ってさようならすればいいのかなと頭の中では考えていた。







「ダメだ。緊張してきた」

「Aリラックスだよ」

「いや、無理だよ」

お見合い当日約束の時間になるまでの間友人が私にメモを見せてきた。

そこには相手の男性の情報が書かれていた。


落ち着いた雰囲気で長男

とある会社の営業課長


まだ若いのに課長とか凄いな


「Aそろそろ」

「ふー。

じゃあ、行ってきます」

「ごめん、ありがとう」


友人に見送られながらホテルのラウンジへと向かう

ラウンジとか行かないよ初めてだ。


緊張する中、窓際の椅子に腰かけて外を眺めていると革靴の歩く音が近づいてきた。

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