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近所の公園につくと私はベンチに座り空を見た。


星は出ていない。


…そりゃあそうだよね。


すると深澤さんは隣に座り私と同じように空を見ると上を向いて話し出した。


「なぁ」

「はい」

「星ってなんで見ると落ち着くんだろうな」

「…深澤さん」

「ん?」


「あの日雨の日迎えに来てくださったの私とても嬉しかったです。」


そう話すと深澤さんは黙って空を見上げてた。


私は自分の手元を見た。
少し震えた手は緊張を表している。


言わないと後悔する


「…あの日貴方を見て苦しくなりました。


ちゃんとした彼女でもないのにこんな幸せな気持ちになっていいのだろうか。
優しい貴方だからこそ貴方を苦しめてるのではないかと考えました。

私が…彼女ではなく。

違う人であれば貴方は悩むこともないのかもしれないと思ってしまったんです。


だから、泣いたんです。」


震える手を抑えるようにして少しずつゆっくりと言葉にしていく。


黙ったままの彼は何を考えているのかも分からない。


仕事も忙しい時にこんな話をして申し訳ない。


手を膝の上で握りしめて黙る。





「…俺の話していい?」


え、


顔を上げると深澤さんは私の方を見ていて目が合うと優しそうに微笑み私の頭を撫でてきた。

「無理矢理俺から付き合おうって言ったようなもんだから

俺嫌われてんのかなとか思った。

だって、付き合う前にキスしてるし。


嫌がるAを何度も見てきて俺の存在が君を苦しめてるのでは?って考えてた。」


違うよ


貴方は悪くない


首を横に振り静かに「違う」と呟くと彼は私の頬を包み込み私を落ち着かせた。


「優しいなぁAは。

俺もね、誰にでも優しくて真っ直ぐなAを見てると苦しくなる時があったかな。

…もしもこの子が俺のもとから離れて違う誰かの傍に居たら……なんか嫌な気持ちだなって。

…俺、Aじゃないと無理だわ」



へへっと笑う彼はどこか少年のようだった。



私はゆっくりと手を上げて彼の手の上に重ねた。


「…ありがとうございます」


泣きそうなのを堪えながら震える声で今の気持ちを伝えると深澤さんは私の手に触れ引き寄せた。

そして、私を抱きしめた。



いつもより距離が近い


彼の香りが物凄く近い



「…今夜帰りたくないんですけど」


その言葉に頷くと彼はポソッと「まじかよ」と呟いていた。




「…深澤さん」


「ん?」


「私の家近いので…来ますか?」



「え、あ…えぇ!?」

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ハル春(プロフ) - アルカリさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。話が長くなり移行するかもしれませんがよろしくお願いします!完結後の続編はまだ考えていませんでしたが小話みたいにするかも…です!笑。これからも更新頑張っていきますね (2020年7月6日 10時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ(プロフ) - こんにちは!この作品が更新される度にキュンキュンして、毎日読み返すぐらい大好きな作品です!これからも更新楽しみにしてます!もし、完結しても続編を希望します!笑 (2020年7月5日 10時) (レス) id: 669107a882 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!好きと言ってくださりありがとうございます。まだまだ続くと思いますがこれからもよろしくお願い致します。更新頑張っていきますね! (2020年7月2日 1時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - この作品、本当に本当に大好きです!更新楽しみに待っています! (2020年6月28日 23時) (レス) id: 1af05a18e5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - 09ゆう26さん» コメントありがとうございます。ハマって下さりとても嬉しいです。更新頻度は遅く大量更新が多いですが更新頑張っていきますね! (2020年6月28日 19時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル春 | 作成日時:2020年6月3日 0時

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