君の唇にキスさせて 2 【紫】

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ダンボールを置いた深澤さんは1度部屋に戻ると帰っていった。

私はその場に残り机を並べたり椅子を並べたりしていく。

だが


「、おもっ」


なんせ私一人なので上手くはいかない。


机を引っ張り引きずって運ぶ。


椅子は2個ずつ持ったりして運び並べる。



資料は確か全員分あるし名札を渡して


「あの、手伝いましょうか？」


机を運んでいると目黒君がバッグを置いて私の所にやって来た。


「あ、大丈夫だよ！

目黒君も態々こんな朝早くからきてくれてありがとね。


そこに椅子を置いてるから座ってて」


困り顔の目黒君を見て優しい子なんだと思った。

私よりも何歳か下だけどこんないい子本当有難いよね。


机をギーと引きずって並べていると何故か少しだけ机が軽く感じた。


ん？


後ろを見ると目黒君が持ち上げていた。


「あの、俺、力あるんで言ってください。」


「…優しいね

ありがとう」


少しだけ嬉しくなり胸がほっこりした。


目黒君と2人で運びながらお話をする。


「え、目黒君営業希望！？」

「はい。」

「営業かぁ、じゃあ面白い先輩居るから楽しいよ」

「？そうなんですか」

「うん。いつもニコニコしてる人だし面白いんだよね」



あと少しで机が並び終えそうだな。


「…あの、貴方の名前は」

「え？あ、だった。遅くなってごめんね。
私の名前は伏本Aって言います。部署は総務かな

よろしくね」

「いえ、伏本…さん？でいいですか？」

「うん。いいよ。私も目黒君って呼ぶし」



机を並び終えたので次は椅子を運んでいると目黒君が椅子を置いて私の方を見ていた。

「？どうした？？」

「いえ。伏本さん一人で設営してるので」

「あー、他の人も色んな仕事掛け持ちだから忙しいんだよ。

大丈夫だよ！研修の時は色んな人が来るから」


椅子あと何個かなぁ


その時、ドアが開いて深澤さんが入ってきた。


荷物も全部もってきてるし用意周到ですね。


椅子を2つ重ねて持って行こうとしたら深澤さんは驚いた顔をして私の方にやってきた。


「馬鹿、危ない」

「大丈夫ですよ。私力はあるので」

「嘘つくなよ。危なっかしいから俺持つわ」


深澤さんは私の手から椅子を受け取っていた。

手から重みが消え楽になる。



「でも、ありがとね。ここまでしてくれて

それと、目黒君も」


深澤さんは椅子を並べながら私達にそうお礼を述べた。


お仕事だからいいのに。


でもそういう所は彼らしいなと思った。

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