シン友 (ページ47)

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結局詳しく話は聞けないまま始まった体育祭。

目玉種目のひとつであるリレーには、森本くんも出場していて足の速さに驚いた。

北斗や樹くんもリレーだったらしく、私の前を走っていった樹くんのドヤ顔は忘れられない。

そして、いよいよ

「借り物競争！」

「行ってこいA！」

今更になって恥ずかしくなってきたんだけど。

入場列に並ぶと、男子が先にやるらしい。

ピストルの音がして、一斉に走り出す。

ジェシーくんはとびぬけて足も早くて一番最初に紙を手に取った。

考えてる時間はほんの数秒。

待機列を見回したジェシーくんと、気の所為かもしれないけど目が合った。

「A！」

「え、」

私のこと、呼んでる？

頭が追いつかなくてぼーっとしている間に、ジェシーくんは目の前までやってきていた。

「行くよ。」

綺麗すぎる顔で私に笑いかけ、温かい手で私の腕を優しく掴んだ。

そしてそのまま走り出したけど、運動の苦手な私に合わせるようにゆっくりしたペースだった。

それでも1着でゴールした私たち。

ジェシーくんはゴールに立っていた生徒に紙を渡し、判断を待っている。

「…はい、OKです。」

「よっしゃ！ありがと、A！」

「大丈夫だよ。お題はなんだったの？」

「異性の親友！俺らもう大親友だもんな！」

少女漫画みたいに、“好きな人”だったり。

なんて期待した私には、重すぎる言葉。

天国から地獄に突き飛ばされたような、そんな感覚。

いや元々天国も何も、全部私の妄想に過ぎなかったんだけど。

頑張って顔に笑顔を貼り付ける私と、心の底から楽しそうに笑う彼。

晴れと大雨みたいな、対極的な心情なのにこうして隣で立っていられる私を誰か褒めて欲しい。