シン友 (ページ40)

今日:38 hit、昨日:2 hit、合計:199,632 hit

ガラスと焼肉ページ40

「Aってさ、モテるでしょ。」

「はい？」

生きてきた短い人生の中で未だモテ期を経験してない私。

そんな私とモテとは切っても切れない縁を持ってそうなジェシーくん。

対象的な彼の口から飛び出した言葉に、私の耳がおかしくなってしまったのではと心配になる。

私が、モテる？

「いやいやいや、ジェシーくんに言われたくな
い。」

「俺ぇ？俺も別にモテないよ。」

「何言ってんの。」

現に、ここにあなたを好きな女がいるんだよ。

自分で思っときながら恥ずかしくなるセリフ。

次にジェシーくんが何かを話すため、すっと息を吸い込む音がする。

なんとなく、本当になんとなくだけど嫌な予感がした。

聞きたくないことをいまから話そうとしてるような、そんな感じ。

「仮に俺がモテてたとしても、俺好きな人いる
しなあ。」

何かが割れる音がした。

いままで、心のどこかで「特別」になれるんじゃないかと期待していたもの。

大事にしていた期間は長いのに壊れてしまうのは一瞬だった。

繊細で、扱いにくいそれは大好きな彼の声によって音を立てて壊れたのだ。いとも簡単に。

「Aは？好きな人いないの？」

「…んー、いない、かな。」

「まじ？A良い奴だし絶対いい人いるっ
て！」

「そ、かな？」

「おう！例えばさ、＿＿＿＿」

ねえ、ジェシーくん。

楽しそうに話すあなたは、私の心の荒れ模様なんて気にならないのかもしれないけれど。

あなたが誰を想ってるのか、私はどういう存在なのか、聞きたいことが頭をぐるぐる回って話が全く入ってこないの。

ごめんね、