シン友 (ページ28)

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眉を寄せて困ったように笑う慎太郎に、ごめんと軽く謝ってから話を始める。

「その集会の日に、絡まれたんだよ。」

「絡まれた？」

「いや、絡まれたっていうよりはナンパ？
そのときAは忘れ物取りに行ってていな
かったんだけど。」

「学校で？」

「そう。しかも先輩でさ、強く言えなかったん
だよ。そしたらそれをAが助けてくれて
さ。」

「へえー、超かっこいいねA。」

「うん、かっこよかった。」

「超かっこいいね、その子。」

「ぅうわっ？！」「へ、」

突然後ろから声を掛けられ、情けないほどの叫び声を上げてしまう。

首が取れるんじゃないかってくらいの勢いで振り向くと、さっきのヤンキーがお盆を持って立っていた。

「はいこれ。オムライスとサンドイッチ。
あとここのケーキね。うめーよ？」

「え、あ、でも、俺らケーキなんて…」

「俺のサービスだべ、受け取っとけ？」

怖いのは見た目だけで、案外いい人かもってケーキひとつで思える俺は相当単純なんだろうか。

「お前ら後輩だろ？何組？」

「5組っす。」

「へえ、そっか。
俺は3年3組の田中樹。で向こうで本読んでん
のが友だちの北斗。カウンターにいるのが店長
のこーちで、金髪がきょもね！」

「俺、森本慎太郎です！」

「ジェシーです。」

「んな固くなんなって！
タメでいいし、仲良く行こうぜ？」

「まじ？！やった！」

さっきまでの恐怖心はどこへやら、俺たちは持ち前のコミュニケーション能力でズカズカと4人の心に入り込みあっという間に仲良くなった。

あの北斗って人は人見知りっぽくて仲良くなるのはちょっと大変だったけど。