春紅クール

07 ページ7

「とりあえず座ろうよ」という俺の言葉でみんな席についた。

すぐ終わる話ではなさそうだし、さっきからずっと青ざめて冷や汗を流す伊野尾ちゃんの体調も心配だ。
「伊野尾ちゃんも座ろう」と彼の肩に手を触れると、微かに震えが伝わってきた。


「…聞きたいことが多すぎて、まず何から聞けばいいのか…」


こんな時、頼りになるはずの薮ちゃんでさえ混乱を隠しきれないようで頭を抱えながら口を開いた。


…ここまで散々語ってきておいてなんだが、実は俺は伊野尾ちゃんに恋心を抱いている。
だから聞きたいことといえば、真っ先にとある質問が頭に浮かんだ。
でもそれよりも先に聞くべきことがある。
とりあえずここは薮ちゃんに任せよう。
俺の質問はもう少しあとだ。

というか、伊野尾ちゃんが妊娠だなんて本当にショックなんだけど…。
多分他のみんなはこれからの活動についてだとか、秘密にされてきたことに関してショックを受けているんだろうけど…いや、もちろん俺も今後の活動に関しての不安はあるけど、好きな人が妊娠だなんて…失恋じゃないか…。
付き合ってる人がいることすら知らなかったんだもん。
いきなり妊娠って…衝撃が大きすぎるよ…。

08→←06

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す