春紅クール

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伊野尾ちゃんと暮らし始めて数日。
今日は1日休みだから伊野尾ちゃんと2人でゆっくり過ごそうと思っていたが、ちねんと圭人がうちに遊びに来た。
2人を追い返せるわけもなく家に上げると、伊野尾ちゃんはちねんに独り占めされてしまった。


「久しぶりのいのちゃんだー！またお腹大きくなったねえ」

「よく動くんだよー。夜は眠れないくらい胎動が気になっちゃうんだよね」

「元気な子なんだね。大きくなったら僕がアクロバット教えてあげるからね」


ちねんはずっと伊野尾ちゃんのお腹を撫でながら話してて、触りすぎじゃない？と少し嫉妬してしまった。
いや俺だって毎日撫でてるけどさ…なんなら仕事行く前はお腹に向かって「行ってくるね」って言うし帰ってきた時は「ただいま」って言いながら撫でるし…父親ぶったことしてるけどさ…


「山ちゃん、いのちゃんのこと好きなの？」


お腹空いた！とちねんに急かされて昼食を作っていると、手伝ってくれていた圭人がコソッと話しかけてきた。

突然核心を突かれた俺は動揺して塩を入れすぎてしまった。
作ろうとしてたのはたまご焼きだから卵を追加すれば大丈夫だけど…


「なっ、なに急に！？」

「あれ、違うの？だってみんな言ってるよ。俺は全然気づかなかったけどちねんとか薮ちゃんも言ってるから信ぴょう性高いなーって。で、どうなの？」

「…確かに、みんなの言う通りだよ」

「でもお腹の子のお父さんではないんだよね？」

「まだ付き合ってもないんだからそれは絶対にないよ。それに、俺はもし妊娠させちゃったらちゃんと責任とって結婚するよ」

「まあ…普通はそうだよねぇ。本当に誰なんだろ…」

「…今はまだそんなこと追及しなくていいんだよ。伊野尾ちゃんが話したくなるまで俺からは何も聞かない。圭人も余計なことは言うなよ？」

「うん。分かった。思ってたよりもやまちゃんっていのちゃんのこと大好きなんだね」

「…そのことも言うなよ」

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