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32回目 ページ32

横から突き刺さる彼の目線が痛い

そんなことはお構い無しに、真緒さんは真剣な顔つきで台詞を言う



「『あいつのこと好きなの?』」



もうすぐ深夜3時を回る頃、リビングで私は友達の兄と何をしているのか

いや、まだ正気に戻るのは辞めよう

台本をガン見してヒロイン役の台詞を読み上げる

本当は真緒さんの目を見て言った方が良いのだけど、そんな高難易度な事は私には無理だ



「(真緒さん、顔が良すぎるんだよ…)」



彼は、私のことをずっと見て台本に書かれてある台詞を言っているが正直辛い

目線から仕草の一つ一つに心臓が大きく跳ねるのだ



「『…なんのこと?』」



今はヒロインの女子高生が、好きな人の幼馴染みと放課後話している場面だ

彼のことが好きなのかと問われれば曖昧に濁す主人公に何だか胸が痛くなる

なんかデジャヴだなと苦笑する



「『いつも、あいつと一緒にいるじゃん。最近よく見るんだけど』」

「『ただの偶然だよ』」



台本を軽く読んだが、本当にベタな話だなと思う

きっと女子中高生向けだろう

でも癖になるベタさだな、と軽く考えていると




「『嘘ばっか』」



真緒さんが私の顔を覗き込むように、身を乗り出していた

その事もあり、先程の距離よりもぐんっと近くなる


いや、ちっっっか

え、近い近い近い死ぬって私

もう手を少し動かせば簡単に彼に触れることが出来る距離なのだ

必死に目線を合わせないように台本に書いてある文字だけを見ることに全意識を向けた



「『さっきから何なの?』」



台本の中では、しつこく聞いてくる幼馴染みに腹を立てて怒った口調で冷たいセリフを放つことになっているが

こんなかっこいい人にここまで話しかけて貰えるなら私は絶対に口が軽くなるだろう

そんな自分とは正反対に、主人公は冷たいセリフを吐いていく



「『君に何が分かるわけ?』」

「『それはお前の方だろ』」

「『うるさいんだけど』」



待て、なんかこの台詞言うのがすっごく申し訳ないんだが

お願いだから喧嘩しないで、私これ以上真緒さんに暴言吐けない

台詞を言うだけなのに、すっごい罪悪感を感じる瞬間だった

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設定タグ:あんスタ , 衣更真緒 , トリスタ   
作品ジャンル:恋愛
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彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました・・・。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん!梶さん!尊い! (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜!!評価もありがとうございます!! (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて?」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ!! (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めご | 作成日時:2021年1月2日 21時

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