手招き ページ9
しばらくすると、
撮影が始まった。
しっかり役になりきってるな。
私の知る平野紫耀ではない。
凄いな…
そう言えば、
セリフをいつ覚えてるのかな…
ふと、そんな事を思いながら、
撮影中の紫耀を見ていた。
家では仕事の話をする事も、
持ち込む事もないから。
それって、
私に気を使って無理してたりするのかな…
マネージャーになって、
知った事が沢山あって、
その分、
心配になる事も、
申し訳なく思う事も多くなった。
カットの声が掛かり、
楽しそうに談笑している紫耀を見ていた。
するとまた手招きをしてくる…
嫌だよ…
そう思い、
首を横に振るけど、
それでも手招きをやめない…
周りはそれに気付き、
笑っているし。
仕方ない…
嫌々近付き、
セットの中に足を踏み入れると、
照明が眩しかった。
A「…何?」
紫耀「どうだった?今の。」
無愛想にそう言う私を気にもとめない紫耀。
A「いや、分かんないよ。」
紫耀「いい感じ?」
演技の事を私に聞かれてもな…
A「分かんない。」
紫耀「ダメだったかな?」
A「分かんない。」
それからも、
何を聞かれても、
分かんないと答える私。
このやり取りに、
メイクさん達や、
スタッフさんなど周りの人達は、
クスクス笑っている。
紫耀「頭良さそうに見えた?いつもの俺の感じと違う?」
A「あっ、それは、うん。そう見えた。」
紫耀「ん?それは、なんか…。それでいいんだけど、何だろ…なんか凹むわ。」
面倒だな…
A「頑張って。じゃ。」
もう、いいかな。
そう思って立ち去ろうとしたら、
紫耀「あっ、待ってよ!」
呼び止める声を無視して、
カメラの後ろへ回った。
すると、
監督「お2人のやり取り最高ですね。いつもこうなんですか?」
A「あっ、すみません。いや、今日はやけに絡んできてます。担当違いますし、普段はあまり関わらないんですけどね。」
仕事中は、
距離をとるようにしてるから。
監督「今日は、一段と張り切ってますよ、平野君。田中さんがいて嬉しいのかな?それにしても、あんなに雑にあしらわれても喜んでるって、彼、ドMなのかな。笑」
鋭い監督にドキッとしたけど、
A「フフフ。」
私は心を見透かされないように、
笑って誤魔化した。
得意の完璧な笑顔で。
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作者名:ひろみ | 作成日時:2019年11月24日 0時