Contract love ～偽装恋愛～ 14 (ページ32)

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完敗ページ32

抱き締められた腕から離れて、
紫耀を見つめる。
紫耀は、
私の手を取り、
ソファーに座るように促した。
膝の上に置いた私の手を握りながら、

紫耀「だって、AはAじゃん。世界に1人だけでしょ？だから、Aが好きなの。」

答えになってないような…

A「うーん…、私はね？もっと太った方がいいのかなって…」

紫耀「どっちでもいいよ？あっ、二枚爪発見！笑」

相変わらず私の手をにぎにぎしながら、
私の爪の二枚爪を発見したりなんかして、
興味なさそうにそんな事を言う。

A「真剣に聞いてるんだけどな…。あっ本当だ。」

自分の二枚爪を確認しながら、
少しでも紫耀の理想に近付きたいと思うから、
頑張ってもっと食べて太ろうかなって、
真剣に考えている。

紫耀「ごめん、ごめん。でも、本当に、Aが、太ってようが、痩せてようが、そんなのどっちでもいいんだってば。前も同じような事言ったじゃん。Aって事が重要で、見た目とかどうでもいいの。しかも、今のままでも十分抱き心地いいし。ほら、フワフワ、スベスベ。笑」

私を横からギュウッと抱き締めてくる。
確かに前にも同じような事聞いたけど、
やっぱり確認しておきたいじゃない？
今テレビでもそう言ってたし。
でも、
私の見た目とかどうでもいいのか…
それはそれで、
嬉しいような、
複雑なような…

紫耀「だから、要するに大好きって事だよ？分かった？」

なんだかよく分からないけれど、
きっと、
紫耀の目には、
私の見た目を通り越して、
私って言う中身が見えてるのかな？
それって、
凄い愛情だよね。
でも、中身って言っても、
こんな私の何がいいのかな？
ずっと解決しない謎だわ。

A「分かった。ありがとう？うん？ありがとう。」

何となく、
お礼が言いたくなった。
こんな私をこんなにも好きになってくれたんだもの。

紫耀「何で疑問形？でもまぁ分かってくれたなら、宜しい。ってか、お礼とか言わないでよー。」

A「ごめんなさい」

紫耀「謝らないでよー」

A「フフフ。私って、なんだかいつも大きな愛をもらってばかりね。私も少しでも紫耀に愛を伝えるね？」

紫耀「じゃあ、ずっとこうして触れられる距離にいてね？そうしたら、口下手なAの気持ちを読み取れるから。」

キラキラした笑顔で、
そんな事を平然と言うあなた。
でも、紫耀の大きな愛が胸を打つ。
本当にいつも敵わない。
今日も完敗です。