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優しい時間 ページ4

そっと唇を離すと、

優しい顔でまた私を見つめてくれる。
でも、

A「そんなに見ないで…恥ずかしいよ。」

紫耀「こんなに好きなんだから、見たいんだもん。いい加減慣れて。」

A「…頑張ります。」

そう言いながら、
視線を上げて紫耀を見ると、
薄らと唇に口紅が…
そっと親指で拭ってあげると、

紫耀「フフ。やっぱりこれ好きー。」

A「フフ。」

優しい時間が過ぎていく。


紫耀「あー…これ、どうする?」

私の手にある指輪。

A「大切にしまっておくね。」

紫耀「そっか。」

A「うん。」

バッグに入れていたポーチにそっと入れた。

紫耀「結婚指輪まで待っててね?」

A「うん。」

そろそろ時間が…

A「もうそろそろ行かなきゃ。」

紫耀「あー、そっか。Aと居るから、仕事の事忘れてた。」

A「実は私も。あー、今日1日、紫耀のマネージャーちゃんと出来るかな。バレないように気をつけなきゃ。」

こんな甘い雰囲気なのに、
急にマネージャーとタレントの関係にならないといけない。

紫耀「俺、無理かも。」

A「えー、頑張ってよ。お願いだから、名前とかで呼んだりしないでね。」

紫耀「あー、そっか。思わず名前呼びしないように、気を付けなきゃなー。」

後部座席から運転席へ移動して、
車を発進させた。

紫耀「今日って、撮影終わったらもう終わりだったよね?」

A「うん、そうだよ。今日は遅くまであるからね。」

紫耀「22時終わりだっけ?」

A「うん。」

紫耀「じゃあ、終わってから、海人おめでとう会でもするかな。いい?」

A「もちろん。どこかお店でする?」

紫耀「ちょっとみんなに連絡してみる。」

それから、みんなと連絡を取り合い、
カラオケでお祝いをする事になったらしい。
さっき買ったこのワイン、
また紫耀から渡してもらおうかな。
そう思いながら、運転していると、

紫耀「またその歌だ。本当に好きなんだね。」

A「ん?あー、うん。ごめんつい。」

紫耀「謝んないでよ。」

思わず、鼻歌で歌っていたみたい。
確かに好きな歌だけど、
それだけじゃなくて、
元カレとの思い出の歌でもあるからか、
思わず謝っていた。
紫耀はきっと全て気付いてる。
バックミラー越しに目が合った紫耀は、
謝んないでよと言いながら、
切なそうに、
苦笑いをしていた。

ごめんね。
そんな顔させてしまって…
はぁ…ダメだな、私は。

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作者名:ひろみ | 作成日時:2019年11月24日 0時

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