Contract love ～偽装恋愛～ 14 (ページ23)

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泣いちゃうほど… ページ23

顔を洗って鏡に映る自分を見ると、
目は赤く腫れ酷い顔。
それでも仕事には行かなきゃいけない。
この酷い顔をどうにかしたくても、
ここには何もないしな…
マスクだけして、部屋を出た。

エレベーターまで行き、
紫耀の部屋の玄関を見る。
いるのかどうかも分からないぐらい静かだな…
ごめんねって何も無かった顔して帰ろうかな…
…ううん、出来ない。
ダメだ。また泣きそう…
本当に自分のこんな性格が嫌になるな。
上がって来たエレベーターへ乗り込み、
急いで閉めるボタンを押した。

岸君を迎えに行く前にアパートへ寄って、
夜のお店で働いていた時に使っていた化粧道具で、
メイクをして、
部屋に残っていた服に着替えた。

それにしても久しぶりのアパート。
少し前までは、
この部屋が1番自分でいられる場所だったのに、
今は他所の家に来た様な、変な感覚。

ゆっくりする時間もなく、
慌ただしくアパートを出ると、
岸君のマンションへと急いだ。
着いたと連絡をすると、
すぐにやって来た岸君。

後部座席のドアを開けると
車へ乗り込み、

岸「おはよっす！」

今日も朝から元気で、
機嫌良くて、
そんないつもの岸君に救われる。

A「おはよう。」

岸「あれ？風邪？」

泣きすぎて、
鼻が詰まり、
声も変になってるみたい。

A「ごめんね？ちょっと鼻が詰まってて。風邪じゃないから移らないし、安心して？」

岸「そんなの全然気にしないでいいっすよ？もし、風邪だとしても、俺、風邪貰わないから大丈夫だし！」

A「岸君はいつも優しいね…」

岸「えっ？そうかな？」

A「うん。いつも機嫌いいし、明るいし、優しい。私にはそんな気を使わないでいいんだからね？」

岸「これが素だし、無意識だから、無理とか全然してないっすよ？あっ！そういえば、Aちゃんにいい話あったんだった！」

A「いい話？」

岸「そっ！昨日、みんなで海人のお祝いしてたら、きっかけは何だったか忘れちゃったけど、紫耀ってAちゃんの事を底無しに好きなんだって。で、愛は深まる一方だって言ってたっすよ？」

A「…そう。」

そんな事を…
この今の状況で、
そんな話聞いちゃうと、
また泣いちゃう。

岸「えっ？泣いちゃうほどいい話だった？」

A「…うん。岸君ありがとう。」

ダメだ。
止める事なんて出来ず、
零れ落ちる涙。
運転しながら、
泣いている、
そんな私に気付いた岸君は、
パニック状態だった。