恋 彼らの片思い

まつにぃの場合　5 ページ20

着替え出してやろうとクローゼット漁る。
サイズは・・・ちょっとデカイかな。
まぁ、いっか。
履いてないパンツあったっけ。

パジャマ・・・
アイツにはパジャマだな。
引き出しの奥ゴソゴソ漁ってたら

ガタンっゴンっ

風呂場からデカイ音がした。

｢マルっ｣

慌てて浴室のドア開けたら
裸のまんま床に転がってる。

｢コケちゃいましたぁ・・・｣

情けない顔してこっち見た。

｢怪我ねぇか？｣
出っぱなしのシャワー。
濡れた体、抱き起こしたら俺までズブ濡れ。

｢だいじょうぶですぅ｣
びっくりしたのか、また半泣き。

｢動くなよ｣
アチコチ触って異常ないか確認してたら

｢ごめんなさい｣
ポツリと悄気た声がする。

｢痛いとこねぇか？｣
｢ん。ないぃ。でも、おしりうったぁ｣
｢バカ。気をつけろって｣
｢あぃ。すみません｣

涙目でまた見上げてくる。
ポカポカに火照った頬。

｢まつにぃ、ぬれてる｣
俺のＴシャツ、きゅっと握ってる。

｢あぁ。怪我したかと思って焦ってたから｣
シャワー止めるのも忘れてた。

｢まえがみ、おりてる｣
手、離して俺の前髪に触れる。
されるがまま、っていうか動けねぇ。
無邪気な色気に毒されて、俺の体固まっちまった。

｢ふふふ。おとこまえやんなぁ｣

くるくる変わる表情。
さっきまで泣きそうな顔してたくせに。
嬉しそうに笑いやがって。
裸のまんま。腕の中。
余裕なのか？煽ってんのか？
まぁ、なんも考えてねぇんだろうな。

ちくしょ。
泣かしてやりたい。

好きなやつには意地悪したくなんじゃん。
男の欲望なんて所詮ガキの頃から変わんねぇ。

悪いな、マル。
もう我慢してやれねぇ。

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