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「また会いたいだなんて言ってごめん。身勝手だったね。ほんとに、ごめんね」
優しい声が痛い。何か言わなきゃ、何か言って止めなきゃって気持ちが焦る。
だけど上手く言葉が浮かばない。
「タクシー呼ぶから、一人で帰れる？ここからだったら初乗りで帰れる距離だから」
どこか辛そうな表情を隠しながら、穏やかな声で私にそう訊く。
こんなこといつもの翔くんだったら言うはずがない。もう一緒にいたくないから、早く離れようとしている。
早く何か言わなきゃ、本当にこれで終わりになってしまう。もう、本当に会えなくなってしまう。
それでいいの？嫌だよ、私、自分の気持ち譲りたくないって気付いたのに。
私の返事を待たずに、右ポケットに手をいれ、スマホを取り出した翔くん。
その仕草を急いで止めようと、左手を伸ばそうとしたときだった。
「あっ！」
「…っ！ちょっ！」
突然動いたからか、おぼつかない足元が崩れ、そのまま前に倒れそうになったのを、翔くんが間一髪、正面で受け止めた。
つまり、抱き締められているような体勢で。
「大丈夫？」
絶対こういうとき、優しい声掛けを忘れない。そんな優しさが好きなのに、今は嫌になりそう。
「ほんとに身勝手！勝手に逃げるなんて許さない！」
背中に回った腕が解けそうになる前に、口にした。離れようとした腕が止まった。
こんな強い口調を今まで翔くんに向けたことがない。
「バカバカバカ！翔くんのバカ！何も分かってない！」
子供染みた言い草。こんな言葉しか今は出てこなかった。
夜風が冷たい。頬に冷たい感触。
「…泣かないで、終わりにできない」
これは夜風じゃないって気付いたのは、翔くんが私の頬に指先を伸ばして、哀しそうな顔をしたから。
その大きな瞳に見つめられる日が来ないなんて、嫌だ。
「泣くのは、ずるいよ…Aちゃん」
頬を撫でる指先が増え、大きな手のひらに包まれた。
「終わりに、したくなくなる」
微かに震えながら紡がれた言葉が耳を抜けたとき、私はあなたの唇を塞いでいた。
それ以上を求める私に、あなたがそれ以上はいらないと言うならば、この気持ちの行方を逃げずにちゃんと教えて欲しい。
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にゃん(プロフ) - 続きを書いて下さってありがとうございます。足が遠のいたり書けなくなる人の気持ちも分かるので更新して頂けると凄く嬉しいです(*'▽'*)♪ (2022年11月27日 0時) (
レス) @page36 id: b010e36986 (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです！！待ってました！！またゆる〜く待ってます♪ (2022年11月7日 0時) (レス) @page36 id: 8aa8752128 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 待ってる人ちゃんといますよ！更新ありがとうございます！ (2022年11月6日 12時) (レス) @page36 id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 妃紀さんお久しぶりです。更新ありがとうございます🤗とても嬉しかったです👏👏😍 (2022年11月6日 9時) (レス) @page36 id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 今晩は。続きが読みたいです (2021年10月23日 22時) (レス) @page32 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃紀
| 作成日時：2019年8月25日 22時
