44.君がいればそれでいい ページ45
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客席にいるのを見つけてまさかと思った。
会いたすぎていよいよ幻覚見だしたんかと思った。
だってそんなん一言も言ってなかったし。そもそも見学席じゃなくて普通に客席おるし。ほんで最前やし。淳太くんと照史くんの団扇持ってるし。
自分たちの出番終わってステージから捌けたらメンバー5人の視線が一斉にこっちを向いてて。…やっぱり見間違いでも幻覚でもなかったんや。
ライブ終わり、連絡するタイミングに悩みながら軽くシャワーを浴びる。いや、でも今引き止めな絶対手遅れになるよな。電話やラインじゃあかん。ちゃんと顔見たいしドームから出たらすぐに会いに行こう。
そう決心して急いでシャワーをしてると、脱衣所の辺りがドタバタと騒がしくなり、息を切らせた小島と佐野が走ってやってきた。
「ちょ、お前らうるさいて」
「誠也くん！風呂入ってる場合ちゃう！」
「はよ！はよ出てきてください！」
急かす2人に理由を聞くと濡れてる髪はそのままに、急いで服を着て全速力でWESTさんの楽屋へと向かった。
走ったせいで乱れる呼吸を整え、ひとつ深呼吸をしてから楽屋の扉をノックする。
中から、「入ってええよー」なんて照史くんの声が聞こえて恐る恐る扉を開ける。各々ソファに座って寛いでたりビール飲んでたり様々な過ごし方する6人と、奥の方で神山くんに髪巻いてもらってる会いたかった背中を見つけた。
「立ってるのもなんやし、まあ座りいや」
「お母さん怖いて(笑)」
「ごめんなあ、過保護なおかんでなあ(笑)」
「おか、え、？あ、いや、失礼します、」
「A、こっちおいで」
淳太くんに言われて伏し目がちにちょこちょこ歩いてきたAは、そのまま淳太くんの隣へと座った。あ、俺の隣じゃないんや。当たり前か。きゅっと掴んだ淳太くんのシャツの裾にさえ嫉妬するなんて、だっさ。
「こんなにみんなに見られたら話しにくいやろ。みんなどっか行っといて」
「どっか行っといてって淳太めっちゃひどない？」
「お前髪濡れてるやん。これで拭いとき」
重岡くんから投げられたタオルを受け取り、ありがたく使わせてもらう。その間もチラチラと感じるAからの視線は、きっと勘違いなんかじゃない。
「あ、すんません、急いで来たから、」
「俺もシャワー行ってこよ〜」
「あ、�陲舛磴鸞圓辰堂兇盥圓�！」
そうやってみんなが楽屋から出ていき、結局残ったのは当事者の俺ら2人と、淳太くん照史くん小瀧の3人。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
