43.寸足らずの愛 ページ44
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「A？俺らの他に話さなあかん奴おるんちゃうの？」
『………え？なんのこと？』
いつもみたいにAとアホな話してアホみたいに爆笑してそれをみんなが見守ってて。そんな空気の中、いつも以上に真面目な淳太が言ったその一言に、全員が一斉にそちらを向いた。
「廉から全部聞いてんねんで」
『………え！？は！？なんで！？れんれん！？いつ！？』
「あの人な、Aのこと心配で色んなとこに根回ししてんねん。なんか変わったことあったらすぐ連絡するようにって」
「照史！」
「怒られてるやん(笑)」
「俺隣におったるからちゃんと話しし。今日話さなほんまにもうあかんくなるで？そんなんAだって嫌やろ？」
『……絶対にいやや』
「ん。ほなちゃんと話そうな。Aできる子やもんな？」
『がんばる』
「やっぱAに甘いよなあ」
「厳しくしてるなんて嘘よな(笑)」
実際、淳太は誰よりもAに甘いと思う。親友の俺が言うんやから相当やで、ほんま。
Aが望むことはなんだってしてあげようとするし、いつだってAの味方に着いてあげてる。でもあかん時は本気で叱るから『淳太くんは厳しい』なんてAは言うんやけど。
「さっきスタッフさんに言うといたからもうすぐ来るんちゃう？」
『え？うそ？照史くん？早ない？』
「さすがやん！」
「せやろ？」
『え、え、どうしよ、ずっと泣いてたから顔ぐちゃぐちゃや、え、久しぶりやのにこんな顔で会われへん、』
「Aはいつでもかわいいで？」
『そういうことちゃうの！』
「Aにも怒られてる(笑)」
「反抗期や！(笑)」
「反抗期？嘘やろ？なあ嘘やんな、A？」
「Aおいで。メイクも髪もなおしたる」
『神ちゃん〜！すき〜！』
ずーっと淳太に引っ付いて離れへんかったAは、神ちゃんの一言でいとも簡単に離れていった。Aが手を離した瞬間の淳太の寂しそうな顔がおもろすぎる。
「親離れやな」
「誰にでもすぐついて行くから心配なんやけど」
「淳太くん子離れしような」
「お前に言われたないわ」
Aが神ちゃんに色々なおしてもらってる間、誰もその場を動こうとはしないのは、多分全員Aのことが心配やから。淳太がどうの照史がどうの言うけど結局、全員Aに甘いしAのこと大事なんよな、俺らって。
照史が連絡してからものの数分後、廊下がバタバタとうるさくなり、慌てた音と共に扉が再びノックされた。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
