98 【ブン太・芥川】気付き ページ48
ブ「…え、アイツに?」
思わぬ提案に一瞬手が止まる。
芥川の方を見ると、俺の混ぜているボウルの中身をスマホのカメラで撮りながら楽しそうに笑っていた。
その行動を見るに、今の提案が芥川にとって特別な意味がある訳ではない事はわかる。
それにパウンドケーキは一度にできる量が多いから、確かに余る事は余るけど…
今の俺にそんな資格があるのだろうか。
素気ない態度とったと思ったら、
翌日急に手作りのお菓子渡すのもヘンだよな?
いや、むしろお詫びとして渡せばいいのか?
ブ「……」
頭を悩ませていると、
隣の奴が突然スマホを閉じて静かになった。
異変を感じて横を見た途端、彼は俺の持っていた泡立て器を奪い取り、慣れない手つきでボウルの中身を混ぜ始める。
ブ「っおい、どした??」
芥「…じゃあさ、今から俺も手伝うから、俺からAちゃんにこのケーキ渡してもいい?」
ブ「…え?」
待て待てどう言う事だ?
作ってるのは俺だよな?
芥「…実は今日走ってる時、眠くて転んで怪我しちゃったんだよね〜。けどけど、Aちゃんがすぐ気づいて手当てしてくれたの!」
そう言って見せられたのは、さっきチラッと見えた腕の絆創膏。
よく見てみると血が滲んでいたと思った赤い色は、
赤ペンで書かれた“ガンバレ”の文字だった。
芥「絆創膏の上にさ、こんな文字まで書いてくれたんだよ!あ〜もう少しで好きになりそうだったC〜」
ブ「…ちょ、え?よく見せてみろぃ!」
グッと腕を掴んで見てみると、確かにAの文字だ。
開いた口が塞がらない。
…流石にアイツ、男心を察しなすぎだろぃ!?
こんな事されたら誰だって勘違いしちまうに決まって…
芥「丸井君のを手伝ったんだってちゃんと言うから!ね、いいかな?」
期待に溢れた顔でこちらを見つめている彼も、
恐らくAに憧れの感情を抱いてしまったのだろう。
…嫌だ
気づくと俺は無意識に言葉を発していた。
ブ「あ、あいつだけはダメだ!俺、ずっと前からアイツのこと好きなんだ」
チクタクと時計の音が響く。
その数秒の沈黙が永遠にも感じられた。
ブ「…だからこれは絶対、俺から渡す」
最後の言葉を振り絞り、
芥川の放心したその顔にたまらず目を逸らす。
…頼むから何か言ってくれ!
芥「…へ?う、うっそー!?マジで〜!?」
心配する間も無く、芥川は今までにないほどに興奮した様子で突然俺の肩をガッと掴んだ。
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時