84 【柳】一撃 ページ34
勢いよく拳を振り上げる。
部員A「っ…!」
一瞬にして殴られると察したのか、目の前の男は目をギュッと閉じて身構えた。
柳「(自分の過ちに対する報いに成す術なし…と言ったところか)」
そしてその憎い男の姿を横目に容赦なくこの一撃をお見舞いしてやろう、と大きく振りかぶった。
ゴッ!!
脱衣所に鈍い音がこだまする。
遅れて俺の右手の甲がジンジンと痛み始めた。
だが…
部員A「…?」
野郎にしては嫌に柔らかい感触に違和感を覚え下を見れば、
うずくまっていたのはその男ではなかった。
『っ…!!』
柳「…!?な、A…?」
『いっ…た…、蓮二、お願いだからそれはダメだよ…』
目に入ったのは、俺の拳をおもむろに肩に受け崩れ落ちたAの姿。
待っていろと言ったのに…!
『っ…関係のない蓮二がそいつらに手を出せば、蓮二まで加害者に成りかねない、だから今はこらえて…!』
柳「…!」
思いもよらない事態に一瞬思考が停止するが、すぐに自我を取り戻した俺は一目散にAの元へと駆け寄った。
肩のブランケットを剥がすとそこには痛々しいアザが浮かび上がっている
柳「っ…A、俺は…」
取り返しのつかないことをしてしまったと絶望する。
震える手で彼女の肩を撫でながら、混乱した頭の中で必死にかける言葉を探した
*
〜貴方Side 〜
男を庇って肩を傷めた私にかける言葉を探している蓮二は、今まで見たこともないくらいに思い詰めた顔をしていた
『私のためを思ってやろうとしたのはわかるし、大丈夫だから』
私のために奴らを殴って蓮二が合宿辞退にでもなったら、きっとそっちの方がこの肩の痛みよりもずっとしんどい。
私もあまりの忙しさと膝の怪我、ブン太の事、盗撮などの事件が重なってさっきまではかなりパニックになっていたけど…
それでも落ち着いて様子を見にきて良かった。
柳「すまない…本当に…」
『ほんとに大丈夫だから、
そんな自分を責めないで…ってあれ?』
ふと後ろを振り向くと、男たちは既にカメラを残してその場から立ち去っていた。
『うわ、逃げた?』
柳「…とりあえず服を着ろ、部屋まで送る。手当てさせてくれ」
『あ、う、うん』
蓮二はもう男達の事などどうでもいいといった感じだ。
カメラを拾い服を着た私は、
蓮二の肩を借りながらのれんの外へ出た
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時