【テニプリ 】 仕事をしてただけなのに… 2

82 【柳】怒り ページ32

〜柳Side 〜


風呂上がりで喉が乾いたので、
自動販売機に飲み物を買いに来たのだが…


男湯の方にも自販機を置いてくれればいいものを、
わざわざ女湯の前まで足を運ばなくてはならないのは、毎回手間がかかるものだとため息をつく。



柳「今のうちに予備の分も買っておくか」


ミネラルウォーターを3本買いそのうちの一つの蓋を開けた時、脇に休憩コーナーがあることに気がついた。


柳「ほう。部屋が騒がしくてちょうど困っていた時に…ここで少し休んでいくとしよう」


ソファに腰を下ろして横に置いてあった雑誌を手にとり、パラパラとめくりながら流し読みをしていく。


柳「ふ、今時こんな胡散臭い記事を書く者がいる…『誰か！！』


ん？何だ

　
右後ろから突如響く、最近1番聞き覚えのある声。


この声は…



まさかと思い後ろを振り向くと、膝と腕を血まみれにしたAが泣きながらのれんの下で崩れ落ちていた。



柳「A…！？」


手に持っていた雑誌を床に投げ、浴衣の裾を捲りながら彼女の元へと駆け寄った



柳「A！一体どうした！？」


『れ、蓮二…助けて、ねぇ…うっ…しゃ、しん、とっら…』


柳「…大丈夫だ、俺の手を持て。一旦ソファまで行こう」


Aはひどく嗚咽して何を言っているのか良く聞き取れなかったため、落ち着かせる為彼女の手をしっかり握って先程俺が座っていたソファへと連れて行った。


『うぅ…ふ…ぅ…』

肩を震わせるAの背中をさすりながら声をかける。


柳「何があったかゆっくり話してくれ。後その腕と膝は…転んだのか？」


彼女は顔を涙でいっぱいにしながらコクリと頷いたかと思うと、


話を聞こうと隣に座った俺の胸の中に、顔を埋めた。


柳「…！」


乾かしてすらいないびしょびしょの髪の毛から滲み出た水が、俺の浴衣の色を変えていく。



いきなりの事でかける言葉を失ってしまいそうになった俺は
まだ少し息が上がったままのAの肩を抱き、

子供扱いする訳ではないがもう片方の手で頭を撫でてやりながら彼女の息が整うのを助け、待った。


『……』


柳「落ち着いたか？何があったのか、ゆっくりでいいから教えてくれ」



彼女は目を真っ赤に腫らしながら、顔を上げた。


化粧をしていないせいかツヤツヤとした顔が恍惚として、
不謹慎ながらも少しドキッとしてしまう。


だがAの言葉はそんな感情も途端に忘れてしまう程の物だった。


『…と、盗撮、された…の』

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