【テニプリ 】 仕事をしてただけなのに… 2

78 ギクシャク ページ28

〜貴方Side 〜


仁王のおかげで、午後からは立海の持ち場につくという精市との約束をなんとか果たすことができた。

仁王の行動が奇想天外すぎて色々面倒ではあったけど…

珍しく心配してくれてただけみたいだし、ちょっと感動しちゃったのが本音だ。 いつかお返ししないとね。


『よし、午後も頑張ろ！』


気合を入れていつもよりきつく靴紐を締めて、もうそろそろ鳴るであろう練習再開のホイッスルを待った。

　


＊




午後からの仕事が始まって３時間。

200人相手の仕事よりはよっぽど楽だけど、
それでも忙しい事には変わりなかった。


『さっきの山吹との練習試合の結果と映像データ、ここに置いておくね！』


幸「ありがとうAさん。…ところで、あの量の仕事を本当に午前中に終わらせてしまうなんてね。正直、間に合わないんじゃないかと思ってた」


精市は私の作った大量のスポーツドリンクの中から1本取り、
そのまま口に含んでから私の近くへと歩いてくる。


『あ、あぁ…確かに午前はホント大変だったなぁ。周りの協力があってなんとか終わったって感じかな』


幸「フフ、誰かが手伝ってくれたんだ？愛されてるね、妬けるよ」

『えぇ！いやいや、みんなが優しいだけだって』

咄嗟に手を振って否定する。


すると精市は私の横にあった仮設ベンチに腰掛けて、ドリンクボトルを人差し指でカチカチと弾きながら、傍に立つ私を見上げた。


幸「皆が優しいだけだって？うーん…まぁ下心には気をつける事だね」


『しっ下心！？あはは、いやそんな…そこまである！？』


幸「はは、むやみやたらに手伝おうとする人に限っては恐らくそうだと思うよ。可愛さの代償かもね」

『いや褒めすぎ』


束の間の休息に仮設ベンチで2人冗談を言い笑い合っていると、ブン太がコート移動で歩いてくるのが見えた。


ちょうどここを通るみたい

汗もかいてるみたいだし、ちょっとドリンク渡してこよう。


『あ、じゃあ私行くね』


幸「うん、よろしく」

精市に軽く手を振ると、私はドリンクを一本持ってブン太の方へと向かった。




＊



『ブン太お疲れ、これ飲んで』

後ろから声をかけて、
振り向いたブン太の手にドリンクを握らせる。


ブ「！！お、おぅ…」 ｽｯ

『？』

ドリンクを受け取るとすぐに背中を向け、再び歩き始めるブン太に少し違和感を覚えた。


『あれ、どうしたの？もしかして疲れちゃった？』


ブ「ん…いや。なんでもねぇよぃ、ありがとな」

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