72 【仁王】距離感 ページ22
『え?』
仁王は、私が手に持っていたタイム表をヒョイと奪い取り
そして内容をざっと確認したかと思えばニヤリと笑った。
『な、何?』
なんでそんなニヤニヤしてるの?
私が追い詰められてるのがそんなに面白いのかな?
仁「Aがこの量の計算を1時間以内に終わらせんのはちと無理難題じゃろうと思うてな」
ピラピラとタイム表を私の頭上でチラつかせながら言う。
時間がないからからかってないで早く解放してほしいんだけど…
『うーん、まあ食べながらやればギリギリできるはず!急ぐから行くね』
仁王の手からタイム表を奪い取って背を向ける。
仁「はぁ〜仕方ないのぉ…俺が半分やっちゃる。ほら,行くぜよ」
すると突然私の手首を掴み、食堂とは逆の宿舎の方へと私を引っ張ってズカズカと歩き始めた。
『え!?いやいいよ!私の仕事だし』
仁「このままで午後からうちのサポートができるんか?幸村とも氷帝を優先していいのは午前だけって約束したんじゃろ」
『う…』
さすが痛いとこを突いてくる。確かに仁王の言う通りだけど…
計算の3分の1だけでもやってくれたら相当助かるのが本音だ。
結局なにも言い返せなかった私は、手を引かれるまま宿舎へと向かった。
ーーーーーーーーー
宿舎に到着し、部屋に向かうためのエレベーターに乗り込む。
16階のボタンを押すと、
私たちの乗ったエレベーターはものすごい速さで急上昇を始めた。
壁はガラスになっていてそれとなく下を見下ろすと丁度食堂に向かっていく学生たちの集団が見えた。
仁「…A、見てみんしゃい。人がゴミのようじゃ」
『はいはい』
“16階です”と機械音声が鳴り響く中、隣でニヤニヤとする彼を無視してエレベーターを降りる。
そうして長い通路をしばらく歩いて行き、
部屋の前でカードキーをかざすと部屋に入った。
『(ここにきて思ったけど、2人して部屋に入るって…なんかアレで小っ恥ずかしいわ…)』
そんなことを考えていると、
仁王は私を通り越して部屋を見回す。
仁「おいおいAよ、こんな広い部屋に1人なんか?」
『そうそう。びっくりだよね』
仁「俺らは相部屋だからのぉ。羨ましいぜよ」
ボソッと呟く声を片耳に、私は構わずデスクに腰掛けて電卓やペンなどを取り出し並べていく。
『そんなことよりも早くやろう!時間なくなる』
仁「はいよぉー」
私はキャリーバッグをイス代わりに、1人掛け用のデスクに2人で横並びに腰掛けた。
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時