【テニプリ 】 仕事をしてただけなのに… 2

71 激務 ページ21

部員「20人分のタイム出たので記録と計算お願いします！」

部員「Aさん次こっちお願いしますー！」

『ハアハア…はい！待ってね〜！！！』

開始1時間で既に息は切れ、汗が滲んでいた。

360度、私を呼ぶ声が絶えず響き渡る。
予想はしてたけど…果たしていつまでこの激務に耐えられるのかしら…



ジャ「おいA、ちゃんと水分補給してるか？今のうちに行ってこいよ」

『う、うん、さすがにちょっと飲んで来る…』


わずかに空いた時間で、素早く飲み物を流し込む。
普通のスポーツドリンクがいつもより何倍も美味しかった。


部員「タイム追加出たのでお願いしますー！」

『今行きます！！』

ペットボトルのキャップも閉めずに立ち上がり、すぐに私を呼んだ氷帝部員の方へと向かった。



『おまたせ、氷帝の追加のタイム貰うね』

鳳「あ、これお願いします。…Aさん、わざわざうちの仕事まで頼んでしまってすみません」


少なくとも100ものタイムが書かれたメモを手渡され、
鳳が申し訳なさそうに言った。


『え？あはは、鳳君が気にする事じゃないよ！マネージャーがいないと大変だろうし、できることは手伝うから安心して練習してていいよ』


鳳「でもAさんは立海のサポートがメインのはずなのに、さっきからずっとうちの練習場にいるから…」


『ああ、実はうちの部長が気を遣ってくれてね、午前はこっち優先して終わらせてもいいって言ってくれたの。それに私も氷帝のマネージャーにはすごくお世話になったから、これくらいはさせてほしいな』
　

正直、さっきまでは心も体も余裕がなくなっていたけれど、
優しく気遣ってもらえた事が嬉しくて心が温かくなった。

『はい、このタオル使って』

鳳「あ…。ありがとうございます！！よーし、頑張るぞ」

『はーい頑張って！』


笑顔で走っていく鳳くんを見送りながら、
改めて普段からこの量の部員をサポートしているミオリン先輩の凄さが身に染みた。



『(…あ、もうお昼だ)』


ふとウォッチを見ると、針は既に12時を指している。
ピーッというホイッスルの音と共に皆が動きを止め昼食を取りに行き始めた。


『終わらなかったから部屋でタイム計算しながらご飯食べよ…』


やれやれと思いながら宿舎の方へつながる道の方へ歩き始めると、突然後ろから服の裾をクイッと引っ張られた。

『わっ！？』

仁「お疲れさん。タイムの平均計算まで終わらなかったんか？」

72 【仁王】距離感→←70 呼び出し

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す