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或男の恋譚:第三幕 ページ45











《灰色の目は子供みたいに輝いていて………そうだなあ、左目が特に綺麗なんだ。
彼奴の左目はな____》









『あの………?』









「灰色に、三菱模様………」









女の容姿を確認した。

その姿と、男の言っていた容姿を比較して息を呑む。

これは、運命なのか。






《____一目見たら、アンタもコロッと惚れちまうだろうなあ!》









『____店主さん?』









「お客さんの名前は、魚住陽さんですかい?」









『え………はい、そうですけど』









____嗚呼、あのお客の言う通りになってしまうかもしれない。









店主の瞳が揺れた。


店主の鼓動が自然と早くなる。





そんな完璧な容姿の人間がいるはずがないと思っていた。


だが、そんなことはなかった。


その男は、嘘つきではなかった。


男が言っていた以上に____否、それ以上に女は美しかったのだ。








言葉にし難い感動に喉が急速に乾き、女を見つめる。

女はその愛らしい丸い瞳に店主を映し、首を傾げた。

一つ一つの所作さえも愛くるしい女に、店主は自身の頰が自然と緩んでいくのを感じる。









____嗚呼、嗚呼!









鼓動が激しい。



目の前の女が愛しくてたまらない。








____あのお客の言う通りになったって構わない。








____だって、そうでないとこの迅る鼓動が抑えられないから。









「陽さん!
僕と____」









____いきなり過ぎて、馬鹿馬鹿しいって笑われるかもしれないけど、しょうがないじゃないか。









____だって。









「____結婚!して貰えませんか?」









____だって、一目惚れしてしまったんだから。









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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時

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