狂王の怒り ページ41
「____ケホッ……コホッ。
助かりましたか………ありがとうございます」
『いえいえ〜。
どうってことないのですよぉ〜』
爆発した倉庫の外には煤まみれになった安吾と陽。
へらへらとした笑顔を浮かべる陽に対し、安吾は唇を引き結び、破壊された倉庫を見やった。
最後に、陽は安吾を見捨てて倉庫の外に出たはず。
だが現に安吾は生きていて、陽も勿論生きている。
ちょっとしたこの小細工は、陽にとって本当にどうってことなかったのだ。
****
数時間前____
『____安吾君、良いこと教えてあげるのですよぉ〜』
《………何ですか?》
安吾が電話をしてきた数十分後、電話を再びかけた陽。
安吾はため息と共に電話に出た。
そして、陽のこの第一声に呆れた様に返答した。
『山之内さんの件、罠なのですよぉ〜』
《………………は?》
『お恥ずかしながら気付かなかったのですけどぉ、多分今回山之内さんに不正の証拠として渡した情報は、山之内さんの会社の不正だったのですよぉ〜。
そしてついでに盗み返しといた博士の発明って言うのは嘘で、ただ単に発明を“盗んだだけ”だったのですよぉ〜。
倉庫に呼び出されたのは、私達を始末する為でぇ〜。
最悪私は殺せなくても安吾君さえ殺せれば相手は万々歳なのですよぉ〜』
《待ってください、それってつまり____》
『山之内さんを捕まえるのには騙されたふりをするしかないのですよぉ〜。
多分防犯カメラか何かで始末した様子をちゃんと見ると思うので、異能力を使って誤魔化すのですよぉ〜?
安吾君は普通に来て、普通に装ってくれたら私がどうにかするのですよぉ〜』
《分かりましたけど、それって》
『じゃ、安吾君の迫真の演技を期待しているのですよぉ〜!』
《あ、ちょっと、まだ切らな___》
****
事前に山之内の考えを見抜き、異能力で幻影を作り出し安吾の死を偽造。
流石に幻影を作り出せることまではわからないだろうと踏んでの作戦だった。
そしたら、何ともまあ上手くいった。
さて、此処まで乗り切った陽が次にやることと言えば____
『____あは、私を騙すなんて良い度胸しているのですよぉ〜』
陽はその美貌で、美しく唇に弧を描いた。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時