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紅茶と洋生菓子 ページ5

「ねえねえ、あっちの部屋に行っても良い?」









『私が入って良いと行ったのは、居間だけなのですよぉ〜。
さあさ、私これから安室君の所に行くのでさっさと出るのですよぉ〜』









コナンが黒い扉の部屋を指差せば、いつのまにか外套を着ていた陽がコナンの脇に手を挟み持ち上げる。

コナンが「下ろして」と暴れるが陽はそれを物ともせず、玄関に向かって歩き出す。

抵抗虚しく、外に放り出されたコナンはいじけた様に陽を見るが、それも陽の心には響かない。

歩き出す陽をコナンは「待ってよ」と言いながら、走って追いかけた。







****







『____安室くーん、お久しぶりなのですよぉ〜』









「嗚呼、お久しぶりです、陽さん。
あ、コナン君も来たんだね」









にこにこと営業スマイルで挨拶を返してくる安室。

陽は迷う事なくカウンターに座り、コナンもその横に平然と座って来た。









『珈琲……否、紅茶と洋生菓子をお願いするのですよぉ〜』









いつも通り珈琲を頼もうとした所で先刻珈琲を飲んだのを思い出す。

安室は注文を聞き終えると、厨房の方へ入ってしまった。

そこで、安室に渡す為に持って来た資料をカウンターの上に出す。

勿論、コナンが興味深そうに尋ねて来るわけで。









『安室くーん、仕事の資料お願いしておくのですよぉ〜!
私はぁ、電話をかけて来るので、コナン君に見られない様にしておくのですよぉ〜?』









安室の返事も聞かずに、陽は資料をカウンターからキッチンの中に置いた。

コナンも身長的に届かないので、真逆カウンターに登ってまで取りはしないだろう。

コナンが悲しそうな顔をしているのを小気味よく思い乍、《ポアロ》を出た。








****








《____相変わらず、電話が来るの予想してたんですか》









『あは、安吾君の反応が楽しいので、ついついやってしまうのですよぉ〜』









安吾からの電話にワンコール目で出た陽。

安吾のため息が聞こえて来たので、其れを馬鹿にするように笑う。

露骨に安吾が苛ついたのがわかったので、話を本題に戻した。









『其れで、仕事の話をするのですよぉ〜』









《………そうですね。

特務課が情報を掴んだと言いましたが、誤報が……否、相手に先手を取られました》

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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時

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