用意周到 ページ33
コツ、コツ____
慌しく警察の人達が動き回る階段の反対側、西にある階段を警察が使っているとすれば東にある階段。
そこに響く上品な靴音。
灰色のスーツに身を纏った美丈夫、陽。
今の陽は完璧な変装をしていた。
先刻と変わらないカラーコンタクトと撫でつけられた前髪。
それに加え、顔に化粧を施し目元の印象も黒子もつけ、ガラリと雰囲気を変えた。
念の為に眼鏡もかけ直ぐに陽とは暴露ないようにしてある。
何時もは凝った変装など面倒臭いので、此処まではしないのだが、今回はいかんせん降谷という公安がいる。
凄腕の警察だ、生半可な変装では遭遇すれば暴露てしまう可能性があった。
今此処で彼に暴露れば、順調な捜査も一気に滞ってしまうかも知れない。
『………さて、警察を騙したはいいものの』
幸いにも固まって行動していた警察。
屋上に先に入り、適当にそこら辺の人から奪った靴を置いておいて、開いている扉の後ろに隠れていた。
警察が全員屋上に入ったのを確認してから、自分は一気に階段を降りて違う階段に移る。
それだけの簡単なこと。
正直いうと、これで騙されるのはかなり恥ずかしいと思う。
一回、ヨコハマの警察より此処の警察の方が使えるのではないかと思ったが、そんなことはなかったようだ。
「____見つけた」
『____はあ、最悪』
幾ら一般の会社員に似せても、社員証がないのでよくよく見られれば侵入者である事は確定する。
社員証も奪おうと思ったが、それで場所が暴露てしまう可能性が大いに合ったのでしょうがない。
だが今回は遭遇したのが降谷零、あの降谷零だ。
最悪の一言に尽きる。
「お前が侵入者だな?」
降谷の言葉に止まらず、階段の柵を飛び越え下に飛び移る。
降谷が一瞬驚いたように目を見開いたが、彼の運動神経も侮れない。
直ぐに追ってきた。
陽は長い足を生かしてどんどん階段を下っていくがそれは降谷にも言える話。
止まれば一瞬で追いつかれてしまうような距離感、非常にまずい。
目の前には扉。
此処に入らなければ逃げ道はない、だと言うのに__
『開かないッ』
「動くな!」
扉が開かないのに舌打ちを零し、伸びてくる降谷の手を掻い潜る。
其の儘上に登ろうとするが、それもまた降谷によって防がれた。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時