老けてる依頼人 ページ27
「____あ、こんにちは。
湘南PTR株式会社代表の、山之内元康です」
特務課に到着し、応接室に行けば座っていたのは灰色のスーツに身を包んだ小太りの男性、山之内。
短髪には少し白髪が混じっており、山之内の眉間に刻まれた皺も相まって、実年齢よりも老けているように見える。
渡された名刺には四八の文字が打ち込まれており、想像通りだ、と陽は笑顔の下で山之内を評価した。
「異能特務課参事官補佐、坂口安吾です。
それで、此方が___」
『はぁい、初めましてなのですよぉ〜。
魚住陽というのですよぉ〜』
何処と無く張り詰めた空気に水を差す呑気な声。
安吾は溜め息をつき、山之内は緩くなった空気に微かに安堵する。
陽は相変わらず一般人が見たら作り笑いと見抜けない程の完璧な笑みを浮かべたまま、話を進めた。
『今回は、私に主に調査させて貰うのですよぉ〜?
取り敢えずお話を聞きたいのですけれどぉ〜____』
陽の質問に答えていく山之内。
沢山の質問に山之内は少し慌てるが、それでもしっかりと答えていた。
『えぇとぉ〜。
ここまでの質問をまとめさせて貰うのですよぉ〜?
今回特務課に頼んだ仕事はある組織は不正を働いているのでそれを解決して欲しい。
政府を頼ろうにも、政府がそれに加担しているため上層部がそれをもみ消してしまう。
組織の所為で会社の方に資金が回らなくなってしまう。
また、最近は山之内さんの所の博士さんが作った地球温暖化対策についての研究内容も盗まれた。
これであってるのですよぉ〜?』
「ええ、そうです。
………お願いできますか?」
「わかりました。
此方で対処させて頂きます」
「あ、ありがとうございます!
依頼料は仕事が終わり次第連絡が頂ければお渡し致しますので」
ペコペコと頭を下げて礼を言いながら部屋を後にした山之内。
彼を見送ってから、応接室にある珈琲サーバーで珈琲を入れ始めた陽。
安吾はそれを気に留めず、「良かったんですか?」と尋ねた。
『何がなのですよぉ〜?』
「貴方なら基本このような仕事受けないでしょう。
なのにこの仕事やるんですよね?」
『今回の仕事をこなせば情報が得られるのですよぉ〜。
それに得られる情報はかなりの量の筈なので、無駄にはならないと思うのですよぉ〜』
陽はそう言って立ち上がり耳を触る。
まだ振り続ける雨の音に頰を緩め、笑った。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時