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マフィン先輩とハムサンド後輩 ページ24

《____えへへ、マフィン美味しかったですかぁ〜?》








「ええ、むかつくぐらい美味しかったですよ。
なんで真っ黒にしたんですか」








《えー、だってただのマフィン作ってもぉ、つまらないのですよぉ〜》








「………今度作る時はちゃんとしたの作って下さいよ」








《了解なのですよぉ〜!
今度は治君にも作るのですよぉ〜》








そこで安吾は疑問に思った。

陽が太宰に作っていない、とはどういうことなのか。








「太宰君に作ってないのですか?」








《いぃえぇ、作ったのですけどぉ〜。
敦君たちに渡して貰おうと思ってたんですけどねぇ、治君また帰って来てないみたいでぇ〜。
渡しても焼きたてじゃないので、どうせなら別の機会に作ろうと思ったのですよぉ〜》








「………入水でもしたんですかね」








《ん〜、でも最近は【一人で死ぬなんて悲しい!】とか言って心中相手探してるらしいのですよぉ〜?
だから多分、土にでも埋まってると思うのですよぉ〜》








「相変わらずですね」と返せば「そうですねぇ〜」と気の抜けた返事が返ってくる。

相変わらず掴めない陽は「切るのですよぉ〜」と言って、電話を直ぐに切った。

携帯を耳から離すと、安室が珈琲とハムサンドを持って現れた。








「御友人ですか?」








「ええ、そうです。
………どうかしましたか?」








「いえ。
ただ、入水、と聞こえたので」









「ああ………心配しなくても大丈夫ですよ、やって無いそうですから」









会話に区切りをつけ、珈琲を一口飲む。

暖かいその味に目を細め、ハムサンドに齧り付く。








「これ、美味しいですね」









咀嚼し終えてからそう言えば、彼は嬉しそうに微笑み、礼を言って来た。

背後から視線が背中に刺さるがそれを無視し続ける。

一切れ食べ終え、手を拭き特務課に連絡を入れる。

相手は部下である辻村深月。

安室透については彼女も興味を持っていたのだ。

安室のいる店と容姿を伝え、最後にハムサンドが美味しかった、と付け加えて送る。

最後の一切れも食べ終え、礼を言って店を出た。

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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時

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