【鬼滅の刃】一妻多夫制の柱さん

参 ページ9

俺は命乞いをするようにして、押さえられながらも土下座をした。
必死に言ったが男に正論で論破されてしまい、言葉を失くす。
確かにその通りだ。この人たちなら俺たちを今すぐにでも殺せる……。


何も言わない俺を見た男は禰豆子に刀を突き立て胸辺りを刺した。
痛そうな声をあげる禰豆子を見ていてもたってもいられなくなり、咄嗟に石を投げる。


女の人は斧を振り回して、なんとか押さえを取り外した。


｢うわっ！あぶなっ……!!｣


女の人には申し訳ないが気にせずに斧を持って男に向かって行く。


石を投げ、男には見えないように斧を投げた後そのまま体で当たりに行った。


だが結果は最初から見えていた。俺は簡単に刀の柄で叩かれ、気を失ってしまった。



冨岡side


日輪刀の柄で少年を気絶させた後、少年が持っていた斧の行方を探す。


走り始めた時には持っていたはず。


冨岡｢(斧はどこだ)｣


周りを注意深く見回していた時、ヴンッという音が聞こえた。


その音の方向に視線を移す前にAが斧に向かって飛び、遠心力によって速く回転している斧を日輪刀で止める。


止めた斧を掴み、傷が付いていないことを確認すると俺の方にゆっくりと歩いてきた。


｢この子、案外度胸あるね。義勇に勝てないって分かってたんだ｣


凄いねーなんて言いながら地面に倒れている少年の頭を撫でるA。


なぜ撫でたのかは意味が分からないが、確かにその通りだ。


木の陰に隠れる直前俺の方に石を投げ、木の陰へ隠れた時に上へ斧を投げた。


丸腰であるのを悟られないように振りかぶった体勢で手元を隠す。
俺に勝てないのが分かっていて、自分が切られた後に俺を倒そうとした。


冨岡｢(こいつは……)｣


そう、考えた時だった。


禰豆子｢グアウッ!!｣


鬼が突然叫び、俺とAを蹴り飛ばした。あまり強い蹴りではない為、少し足を取られただけだったが鬼はもう少年の傍まで近づいていた。


冨岡、A｢(しまった!喰われる!!)｣



Aside


炭治郎『禰豆子は、禰豆子は違うんだ！人を喰ったりしない！』


先程少年の言っていた言葉が頭を過ぎった。
今まで何人もの人がそう家族のことを言っては喰われてきたけど、この"禰豆子"という妹の鬼は違うのかもしれない。


普通の鬼なら目の前の人間を喰らうというのに……。


でもこの子は違う。あの少年を"守る動作"をし、"私たちに向けて威嚇"をしたのだ。

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