【鬼滅の刃】一妻多夫制の柱さん

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それから錆兎は俺をしばし見つめてからまた口を開いて話し始めた。


錆兎｢あ、一緒にいたのが｢あ──ｯｯｯ!!｣ちょ、姉さん！｣


冨岡｢……？｣


話の途中で突然聞こえた女の声。
その方向を見るとあの女の人が桶を投げて、此方へ駆けて来ているのが見えた。


錆兎が姉さんと呼んだってことは正真正銘あの女の人が姉なのだろう。
その事実を改めて理解した時、俺は錆兎に会ったばかりでありながら嫉妬してしまった。


俺の姉は死んだのに錆兎の姉は生きてるのか、と……。


わかってる。
錆兎は関係ないし、ましてや会ったばかり。
そんな感情は持ってはいけない。わかってる。


冨岡｢ｯ…蔦子姉さん……！｣


俺を隠す直前、死ぬ直前の最期に見た蔦子姉さんの顔が頭にチラつく。
いくら望んでも祈っても人の命は戻ってこない。
もう会えない。
話せない。
触れられない。


色んな感情が暴走してまた泣きそうになってしまう。
錆兎たちの前で泣き顔を見せたくなくて、先生の服に顔を埋めて必死に涙を耐えた。


錆兎は姉を気にしながらも俺の様子を見て、不思議そうに首を傾げる。


涙が溢れそうになった時、錆兎の焦った様な声と共に俺の体は浮遊感に包まれる。


その次に体に柔らかい感触と落ち着く匂い、そして暖かい何かに包まれる感覚がした。


冨岡｢へ？｣


唖然としていると呆れたようにため息をつく先生が視界に入り、困惑してしまう。


俺は先生におんぶされていたはず。
なのになぜ俺はその先生を見ているんだ？


冨岡｢…………………えぇ？！｣


少しの間考え状況を理解すると口から情けない声が出てしまった。


｢怪我してるじゃないですかこの子！早く手当てしないとですよね？！｣


俺は女の人に横抱きをされていたのだ。
脇と膝裏に手が添え、俺を軽々と抱きながら2人の話を聞かずに家へと走り出してしまっていた。


家の中に下ろされると救急箱を持ってきて俺の前に正座をする。


｢んー………｣


冨岡｢あ、あの……｣


床に座る俺をじーっと見つめ無言のままの女の人。


声をかけても反応がないのでどうすればいいのかと焦ってしまった。


沈黙が続く中、追いかけて来た錆兎が焦りながら家に入って来る。


入って来た錆兎に希望を持った時、目の前の女の人は驚くべきことを発した。


｢全部脱いで｣


冨岡｢え！？｣


錆兎｢姉さん!!｣


Aとはこれが初めての会話だった。
最初から変わり過ぎたこの出会いは、俺の記憶に根強く残っている。

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