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気付けば私の体は童磨の腕の中にすっぽり収まっていて、彼のいつもの冷たい体温が伝わってくる。

その体温が私を落ち着かせてまたあのバラバラになってしまった簪のことを思い出した。







『……ごめん、ごめんね、童磨…』



「……」






謝っても返事が返ってこない。
童磨は無言で私を抱きしめている。


…ていうか、童磨の腕の力が半端ない。






肋骨が折れたのか胸元からバキッと凄い音がして血を吐いた。


骨が肺に刺さったのだろう



まぁ、すぐに治るけど。



『げほ……ッ』




吐いた血が童磨の肩にかかってしまう。






『……ッ』




足をもぞもぞ動かすと、童磨の足が私の腰を固定して身動きがとれない状況に。


せめてなにか話して欲しい。
無言は辛い。





「………、」




するといきなり肩を掴んで私を離すと
目をじっと見つめてくる。


今にも泣きそうな目をして。







『……ど、う』



「もう何処にも行かないでくれよ
……もう、外に出るな」






再び抱きしめると私の耳元でそう呟いた童磨
いきなりの命令口調に思わずドキドキする。


耳元やめろ!!





『なんで、……』




あまりの恥ずかしさに震え声になってしまった私。




「意味が、分からないのかい?」





童磨の声が低く響いた。







「俺は気が付いたんだ
お前はすぐにでも死んでしまう存在なんだって」





縋るような目で私を見てくるもんだから
何も言えなくなる。







「それならば、お前を閉じ込めて
一生死なないようにするしかないだろう?」




彼の言うこと…

こんなの、本心では無い事くらい分かってる。



なんて言ったって童磨の瞳が揺らいでる。
辛そうに、苦しそうに






「それとも、俺に取り込まれて永遠に生きる?」


『……、』





消えてしまいそうな童磨の頬を撫でると
童磨の瞳が潤んでいく



……こんな童磨は初めてでどうしたらいいのか分からない。いつも甘えるのは私の方だったから。






『……童磨、私の願いは童磨と一緒に居ること
それはどんな形でもいい

例え童磨に取り込まれたって、一緒に居られればそれでいい』




我ながら狂ってるわ。


すると童磨は私の肩から手を離し、再び引き寄せる。
その広い背中に手を回すと童磨はその腕に力を込めた。





「………街に行く時は夜にして。
あの街のずっと奥にある街は夜も賑わってるから、それでいいだろう?夜なら俺も一緒にいけるから」



なんて言って。




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おもち(プロフ) - るみさん» おおお……!!!コメントありがとうございます……ッッ!!!こちらこそ感謝です……っ゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年1月4日 15時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 今ここまで読んで見ましたが……私の想像以上に最高の作品でした!!書いてくれた作者さんありがとうございます!! (2020年1月4日 13時) (レス) id: b36153d67a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - クラゲさん» ヒビが……(´・ω・`) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - うささん» そそそそそんなに!!!?滅相もない!!!(;▽;)嬉しいですぅぅぅぅぅありがとうございますぅぅう!!!!゚(゚´Д`゚)゚。 (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - paopaoman217さん» え!?ありがとうございますっっ!!!!ヽ(;▽;)ノ更新待っててくださいね〜!!(≧▽≦) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おもち | 作成日時:2019年11月17日 23時

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