【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 弐【童磨】

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「それにしてもお嬢ちゃん、いい簪だなぁそれは」



『この簪ですか？そうですよねぇ、絶対高いん……』



「いやいや！！高いってもんじゃねぇぞ！」






私の言葉に被せるようにしてそう言い放った男。
何やら興奮しているようだ。




「俺ぁずっとこんな仕事してるから嫌でも物の価値が分かっちまうんだよ。

それは高いってもんじゃねぇな、とんでもねぇ代物だ
相手は大富豪か……羨ましいこった」



と、ため息をついてる。
しかも落ち込んでる？このおじさん




涙拭けよ。





『その相手に贈るものを探してて……』



「こんな店でいいのかい？もっと他に…」



『私高いもの買えないので。』



「だよなぁ、お前さんは別嬪だが金は持っているようには見えねぇしなぁ」






さっきから喧嘩売ってんのかな？？？
初対面で失礼すぎない？？

でも私は優しいからおじさんの話を黙ってスルーする。





「女から男に……か。
それだったら鏡か？

お守りみたいなもんらしいぜ

“私の魂だけでも貴方について行って貴方を守りたい” とか何とか」



お守りか……

うん、それはいいかもしれない。





扇は童磨持ってるし
他に、思い付くものなんて無いもんなぁ……




ってか、童磨鏡持ってても使ったりするのかな？
飾って貰えたらそれはそれで嬉しいし

気持ちが大事だよね。





「いっその事嬢ちゃんが贈り物になれば……」


『そろそろしばいていいですか？』


「冗談だよ！！」




いや本気だっただろ。




「ちなみに、さっき言ってた
男が女に簪、着物、紅……全てを贈ったときは
“お前の全てが欲しい” って意味になる。

覚えときな！」



『すぐに忘れます』



「お、覚えときなよ……」





落ち込む男。私の地味な仕返しだ。






私が決めた童磨に贈るもの、それは手鏡。

男のさっきの言葉には別に影響されてないけど。
(影響された)




その手鏡は黒漆に蓮の花の綺麗な蒔絵。
キラキラしててとても綺麗。







「ついでにこう言ってやれ。
“私を貴方に捧げます” ってよ」




童磨に？
それは今まで童磨に言ったこと無いかもしれない。

それを言ってしまえばどうなるんだろう？




『……それ、いいかも』


「あれ……？怒らねぇのかい？
さっきみたいにまた怒られるかと思ったんだが」




いや私に怒られるつもりで言ってたの？
何このおじさん面白いな。

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