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そういや、簪がどうとか言ってたような。
手渡された木箱はどう見ても簪が入っていそうな箱だ。
「Aを驚かせたくて内緒にしてたのになぁ。
あの女にバラされたし」
困ったように笑った童磨は私の手の中にある木箱を見つめてそう言った。
「開けてみてごらん」
『ハイ』
こんな事は初めてで、緊張してしまう。
私の口から出る言葉も全部カタコトだ。
割れ物を扱うかのように、そっと木箱の蓋を開けた。
『……え、え、』
その中にはバチ型の簪。
黒漆に蒔絵と螺鈿の組み合わせがとても綺麗なもの。
そしてよく見てみると、螺鈿の合間に細かい硝子の装飾が。
それはもう、どこから見ても上物。
こ、こんな手の凝ってるもの、
お高いんじゃ……
恐る恐る童磨の様子を伺ってみると、童磨はにっこり笑みを浮かべながらどうしたの、と首を傾げた。
『ど、どどどどうしたのののこれ………』
「どもりすぎじゃない?
知り合いに作らせたんだよ」
そんな知り合いがいたの……!?
作らせたって、ええ……!
恐れ多い、そんな高価なものをこの私が頂いてもいいのだろうか……!(白目)
「どうしたの?
……もしかして、気に入らなかった、かな?」
そんな私の様子を見てか、童磨がシュンとする。
『いやいやいやいや!!!!!
もう死んでもいいわ!!!!』
「ならよかった。
きっとAに似合うと思って」
ア”ァァァァ!!
本当に、今なら死んでもいいや。
『何でこれを私に……?』
嬉しそうに笑う童磨を見て、何故急にこんな贈り物をしてきたのかとふと気になった。
「魔除けだよ」
『魔除け……!?』
「うん、そう」
それは私には何かが憑いているという事だろうか。
嘘偽りなく笑う彼を信じてもいいのか。
どっちにしろ童磨からの贈り物だ、どんな意味が込められていようと構わない。
この簪は私の一生の宝物に変わりない。
「俺が傍に居ない時に寄ってくる虫の、ね」
『……え?何か言った?』
「ん〜?何も言ってないよ」
小さく聞こえた童磨の声に思わず振り向いたけど
気のせいだったか。
もう一度その簪に目を移す。
もうずっと眺めていたい。
「これからそれ、ずっと身に付けて」
『もちろんですとも!!!!』
言われなくてもそうするつもりだった。
でも戦う時は壊れないように仕舞わないと。
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おもち(プロフ) - るみさん» おおお……!!!コメントありがとうございます……ッッ!!!こちらこそ感謝です……っ゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年1月4日 15時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 今ここまで読んで見ましたが……私の想像以上に最高の作品でした!!書いてくれた作者さんありがとうございます!! (2020年1月4日 13時) (レス) id: b36153d67a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - クラゲさん» ヒビが……(´・ω・`) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - うささん» そそそそそんなに!!!?滅相もない!!!(;▽;)嬉しいですぅぅぅぅぅありがとうございますぅぅう!!!!゚(゚´Д`゚)゚。 (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - paopaoman217さん» え!?ありがとうございますっっ!!!!ヽ(;▽;)ノ更新待っててくださいね〜!!(≧▽≦) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年11月17日 23時