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……と、外に出てきたは良いけど。
『……あの…まだ、朝ですね…』
「本当ですね」
何が本当ですねだよ。
思わず口に出してしまいそうになったけど、その言葉は心に留めておく。
「教祖様のお隣にいらした彼女が最近、教祖様と一緒にいらっしゃるのをよく見かけます」
『えっ』
そうなの?全然知らなかった。軽くショック。
でもこの人、人間観察が好きなのかな?
すごく周りの動きや様子に敏感というか……
「A様が悲しい思いをしてしまうかと思ってついて行ったんですが……」
と、頬を掻く男。
その頬はほんのり赤くなってる
この人間は優しい人間だ。
心が綺麗なんだ。
童磨、気に入るかな
なんて、また頭に浮かんでくるのは童磨のニッコリ笑った笑顔だけ。
「少し、街に出てみませんか」
そんな時、私の顔を覗き込むようにして男はそんな事を言ってきた。
『街かぁ。教祖様には伝えてないけど…』
「大丈夫ですよ、そのくらい
教祖様はお優しいですから」
優しいからなんでも許してくれるってわけではないと思うんだよなぁ。
優しいからこそ許してくれない事もあるっていうか…
でも今のこの男には何を言っても意味が無いかもしれない。目を見れば分かる。キラキラ輝いていてこれは断れないわ。
『……すぐに帰ってくるなら…』
屋敷の中に私たちの気配を感じなくても
いつも私が庭にいるって分かってるから
いや、童磨の事なら庭にいる私の気配も察知しているかも?
「では!!行きましょう!!」
『え』
私の手を握り、男は走り出す。
こりゃあもう後戻り出来ないな……。
まぁ、街で鬼狩りに会わなければいいだけだけど。
私は無惨様のように擬態が完璧ではない。
油断して人前で牙を出してしまったり、爪を元の鋭い爪に戻してしまったり。
「どうかされましたか?」
『あ、いや、なんでも……』
男が私の顔色を伺ってきた。
急に顔を覗き込まれるもんだからびっくりする。
すると男はすぐにさっきのような笑顔になり、
「……あの、甘味処に行ってみませんか?
行きたいと思っていたんです」
なんて事を言い出した。
いや女子か。
しかもすごく楽しそうにしてる。
もし断ってたらと思うと切ないな。
でも、甘味処かぁ。
童磨とは夜の街しか歩けなかったし、誰かとこんな風に出かけるのもたまにはいいかもしれない。
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おもち(プロフ) - るみさん» おおお……!!!コメントありがとうございます……ッッ!!!こちらこそ感謝です……っ゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年1月4日 15時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 今ここまで読んで見ましたが……私の想像以上に最高の作品でした!!書いてくれた作者さんありがとうございます!! (2020年1月4日 13時) (レス) id: b36153d67a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - クラゲさん» ヒビが……(´・ω・`) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - うささん» そそそそそんなに!!!?滅相もない!!!(;▽;)嬉しいですぅぅぅぅぅありがとうございますぅぅう!!!!゚(゚´Д`゚)゚。 (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - paopaoman217さん» え!?ありがとうございますっっ!!!!ヽ(;▽;)ノ更新待っててくださいね〜!!(≧▽≦) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年11月17日 23時