【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 弐【童磨】

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目の前の青年は静かにお茶を啜っている。
つられて私もお茶を口にし、疑問に思っていたことをぶつけてみた。




『なんで私達が出ていったこと知ってたの？』



「あ……。A様が夕方、1人で出ていった所を偶然見てしまって。」



『…そうなんだ』






童磨が全然構ってくれなかった時ね。
見られてたのかぁ。

まぁ、屋敷を出ていく時間帯はまだ明るかったし仕方ないか。



猗窩座今何してるかな。






「あぁ…その後、教祖様は日が落ちてから急いで出ていきましたね
今朝二人は一緒だったし……合流されたのですか？」




……何だろう
凄く自然に事情聴取されてるんだけど、
何かを聞き出そうとしてる？





『あっ……うん。
私が帰ってこないから心配して来てくれたの。

それで、夜も遅くなったしどうせなら二人で月を見ようって……』




まぁもちろん嘘だ。




何だか少しでも下手なことを口にしてはいけないような気がする。この男は少し鋭いのかもしれない。


とりあえず作り笑いで誤魔化してみると
男も笑顔を作った。





「そうだったのですね。
そんなに月がお好きなのですね、A様は」





うん童磨もね。
童磨忘れないでね、貴方の大切な教祖様。





『…教祖様が好きなものは私も好きだよ』




私の全ては童磨で出来ている事を伝えると
男が顎に手を当て何かを考える素振りを見せた。


難しい顔をして、何を考えているのだろう。






「では、今夜私と月を見に行きませんか」



『』







なんで？








『今夜……？月？』



「えぇ。一緒に見ませんか？」






純粋無垢な笑顔を見せられ何だか断りずらい。

この人は童磨の大事な信者だし……
今夜だけだから大丈夫だよね。




私は今の感情を表情に出してしまわないよう また作り笑いを浮かべ、男の言葉に頷いた。




「本当ですか！？嬉しいですっ！
楽しみにしていますね！」






すると、ただ頷いただけなのにこの喜び様。

断ってたらどんな顔されてたんだろう？
その笑顔を見ていると頷いて良かった、なんて思えてくる。



私も鬼のくせに甘くなったなぁ。

一度、無惨様にビシッとシバかれに行ってこようかな。いや、本気で殺されそうだやめておこう。




『じゃあ今のうちに教祖様に伝えてくるね』


「え？何をですか？」


『屋敷を出る時は伝えておかないといけないの
色々あの人と約束して。』


「……そうなんですね」



…何だか笑顔が怪しい気がするような。

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