推し様の夢を見たい (ページ24)

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最初はファンが溶けてしまいそうな程甘い顔をしていたのに時間が少し経った今、彼は窓を拭き始めている

その方がありがたいのだけど

人の心に入り込むのが得意なのか
段々緊張が解れて少しリラックス出来るようになった

目の前に本人が居るのに
推しについて語る日が来るとは。凄いことだよね

JN「僕達の事、本当に好きなんだね」

『好きというか……大好きで欠かせない存在です！』

JN「……」

少し目を見開いて黙り込み、何かに納得したような
素振りをする彼に思わず声を掛ける

『あの』

JN「ん？どうしたの」

『…いえ、何でもないです！』

コロッと普段通りの顔になるものだから
大したことは無いのだろう

それから続けて推しへの愛を語ったり
普段皆がどう過ごしているのかを聞いたりと
かなり充実した時間を過ごすことが出来た

『それでソクジンさんは、』

JN「ねえ」

『？はい』

JN「ソクジンさんじゃなくて、オッパがいいな」

急に爆弾を持ってくるのが得意なようですねこの長男

『…や、それは、ちょっと』

恐れ多いです、と言葉を続けようとすると

JN「Aちゃんに呼ばれたいから、こう言っているんだよ」

まるで考えていることが分かっているかのように
私の言葉を遮った

JN「……ね？」

『わっ、分かりました！』

深く息を吸い、瞳を輝かせている彼を見詰め
自身の服を掴んで口を開く

『ソクジンオッパ』

かなり勇気を出して言ったのに突然俯いて
何か呟き始めているではないか

なんで！？言わせといて嫌だったとか？？

顔を上げさせようと近づいて彼の肩に触れると
耳が赤くなっているのが分かった

あれ……

JN「想像以上に、嬉しかったよ。これからもそう呼んでね、…A」

顔を上げ照れくさそうに頬をかいている
彼の言葉に思わず身体が固まる

『な、なま…名前…！』

JN「もっと、君との距離を縮めたくなってしまって」

カチ

JN「もう時間か。…ふふ、またね」

何も言えずに動けないでいる私の頭に手を乗せる
彼を見て、意識が遠のいていった