生真面目王子に意識させたい！【るぅと】

HAPPY-END ページ17

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このまま終わるのは嫌だ。
そう思ったら走り出していた。
あの日から何ヶ月もたって明日は卒業式になってしまった。



『っ、あ！るぅと先輩っ…』



窓枠に手を乗せても校庭にいる彼には届かない。広くて大きい校庭には届かない。



『るっ…るぅとぉぉぉぉぉおっ！！！』



大きな声で叫んだ。もうこれを逃したら届かない気がした。声がカスカスになりそうなほど叫んだ。兄はあれからるぅと先輩と話してくれた。だから私も…逃げないと決めた。



『きけぇぇぇぇえっ！！！』



るぅと先輩はモテるから名前を出しただけで周りがざわつく何か言ってるけどここからじゃ聞こえない。多分やめてくださいとかだろう。



『私はぁぁあ！るぅと先輩がぁぁあ！好きですーーーー！冗談なんかじゃないっ！嘘でもない！本当に大好きなんですっ！！！』



日頃周りの目を気にしているるぅと先輩にはさぞ辛いことだろう。



『だからっ…だ、から…』



唾を飲み込んで目をつぶった。
呼吸を整えてまっすぐるぅと先輩と向き合った。



『あの告白、取り消してなんてあげませんからぁぁぁあっっ!!!』



下の方で聞いてた人がざわざわしているのがわかる。ぶっちゃけめちゃくちゃ恥ずかしい。
やってしまった、と林檎のように赤くなった顔を掴んでその場にしゃがみこんだ。校庭からじゃ窓の下だから見えないだろう。



『…明日からどんな顔して会おう…』



好きな人がいようが、なんだろうが、私は負けない。その人よりも、意識させてやるって決めた。
とりあえず…明日はお説教かな。



『………帰ろう』



その数日後、廊下付近でるぅと先輩につかまり、人前で接吻を落とされることになることはまだ知らなかった。
それが、返事。

未来、先輩と肩を並べて歩いて笑っている日が来るとこの時は想像もしなかった。



未来はそんなに怖くない、これからも歩いて行ける。



あの時があったから、諦めなかったから、私は笑顔で歩いてる。




HAPPYEND-fin

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