君のお父様を盗るような真似はしないから安心して？ ページ35
恭弥君のお母様と一緒に茶の間に戻ってみれば、不機嫌顔の恭弥君と満足げに笑っているお父様がいた。
「あらあら、また恭弥をからかってるの？」
口許にてを当ててクスクスと笑ったお母様を剥れた顔で見た恭弥君が、お母様のすぐ隣にいた私に視線を向けた。
数度その場でまばたきをして、近寄ってきた恭弥君が、袖に隠れていた私の手を掬う。
「A、行こう」
有無も言わさず縁側に出ようとする恭弥君に引っ張られる私は、急いで彼の両親に振り返る。
両親そろって何故か微笑ましそうに見送られた。
「３０分後には初詣に出るからね」
「改めまして、明けましておめでとうございます」
先ほどまでキャーキャーいいながら私と恭弥君の写真をとっていた母は、挨拶をすると早速恭弥君のお母様と話している。
残念ながら父は今日も仕事らしく、海外に出ている。
「群れすぎ」
「…まぁ、人は多いね」
恭弥君程ではないが人が多いところはあまり好きではない。
それでも小さな私と恭弥君が大人に埋もれないのは、先頭を歩いている恭弥君のお父様に何故か人が近寄らないからだ。
通るところを人が捌けていく様子は明らかに異様なのに、不思議と納得してしまうのはお父様の雰囲気のせいか。
並盛の権力者とは聞いていたけれど、これではまるで王様だ。
自然とまとわりつく視線は居心地が悪いけれど、恭弥君が堂々と歩いているので俯けない。
「A」
頑なにお父様の背から目線を外さないでいると、何故か咎めるような声で恭弥君が私の名前を呼ぶ。
「ん？」
固定していた顔を恭弥君に向けるとムスッとした顔で一言。
「父さんは既にきこんしゃだよ」
「え？ああ、うん」
そりゃあ恭弥君が生まれてるからね？
首を傾げる私に、どこかもどかしそうな顔をした彼が、お父様の背を睨んだ。
君のお父様を盗るような真似はしないから安心して？
きっと恭弥君のおかげだね。→←ちょっと私には荷が重い気がします。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 493人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドク(プロフ) - 一話一話、必ず笑うか、感情が動かされます。ピンポイントで笑う箇所を作るのがすごすぎる……そして面白すぎる…！！これからも頑張ってください！！ (10月7日 14時) (
レス) @page10 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - ぴょんさん» 私も貴方の感想の表現の美しさにため息が出ました…。負けないように頑張ります！笑 (2019年3月16日 23時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 言葉の表現が美しくて読むたびにため息が出ます…。これからも陰ながら応援させていただきます。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: a5b956ec79 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！楽しみにしてくれていると思っただけで創作意欲がわいてきます！頑張ります！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 死に急ぎガールさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです！幼少期の雲雀さんとの何気ない日常はお楽しみいただけたでしょうか笑これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月25日 22時
