悪戯は子どもの特権だよね。 ページ30
「あらあら、恭弥君！上がっていきなさいな！」
ワントーン上がった母の声に、珍しく戸惑った表情を浮かべる恭弥君。
今日は学校の都合上半日授業になっていて、いつものように家まで送ってくれた恭弥君は、ちょうど買い物から帰って来た母に捕まった。
視線を寄越してくる恭弥君に少し笑って、「なにか用事がないのなら寄っていって？」と言う。
どうせこの様子なら母は気合いをいれて昼食を作るつもりだろう。
食べきれなくて父の夜食になるくらいなら、恭弥君に食べていってもらう方が父の体にもいい筈だ。
小学２年生の男の子がしっかり靴を揃えて家の敷居を跨ぐ。
教育されてるな…。
料理ができるまで私の部屋に上がった。
前に来たときに慣れたのか、インテリアに溶け込んでいる回転バランスボールを眺めた恭弥君は、本棚を物色し始めた。
「A、本当にこれ読んだの？」
並べられた絵本の数々を見て、首を傾げた彼に微妙な顔を向ける。
母が与えてくれた可愛らしい絵のそれらは、シンプルな私の部屋を唯一華やかにするだけの役割を果たす。
母の前で一度読んだきり本棚にしまいこんだものだ。
「前読んでた本は？」
「前…？」
もしかして哲学書のことか？
授業中に恭弥君と読んだハードカバーの本を思い浮かべる。
それなら…。
部屋からでて、恭弥君においでと手で示す。
シーと唇に指を添えるのも忘れずに。
子供が小さな家は、どうしても子どもに行動を制限させなくてはならない。
うちも例外ではなく、というかうちは『入ってはいけない部屋』というのが多く存在した。
主に父と母の仕事部屋だ。
といっても荒らしてはいけないことなど既にわきまえている私が、入った痕跡を残さずに入ることなど容易い。
『入ってはいけない部屋』の一室である、父の書斎に入り込む。
天井までビッシリと埋められた分厚い本を見て間の抜けた表情を見せてくれる恭弥君。
かわいい。
悪戯は子どもの特権だよね。
知らないふりは得意なんだよ。→←今世で恋愛するなら２０歳は年上がいい、な。
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ドク(プロフ) - 一話一話、必ず笑うか、感情が動かされます。ピンポイントで笑う箇所を作るのがすごすぎる……そして面白すぎる…！！これからも頑張ってください！！ (10月7日 14時) (
レス) @page10 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - ぴょんさん» 私も貴方の感想の表現の美しさにため息が出ました…。負けないように頑張ります！笑 (2019年3月16日 23時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 言葉の表現が美しくて読むたびにため息が出ます…。これからも陰ながら応援させていただきます。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: a5b956ec79 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！楽しみにしてくれていると思っただけで創作意欲がわいてきます！頑張ります！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 死に急ぎガールさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです！幼少期の雲雀さんとの何気ない日常はお楽しみいただけたでしょうか笑これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月25日 22時
