夏祭り1 ページ43
.
来たる夏祭り当日!浴衣や甚平で着飾った人々が、ごった返すグラウンド。すれ違う人それぞれが、綿菓子・たこ焼き・ヨーヨーなどを持っているさなか…私、春野Aは、
「うぇーん!!ママ゛〜!!」
『大丈夫だよ!ママ見つけてもらえるから、係の人のところ行こう?』
しゃがみこんで迷子の手を握り、その子の金魚を持っています…。
「やだぁ!!足疲れたぁ!ママが来るまで動かない〜!!」
『係の人のところだったら椅子があるから、ゆっくり座れるよ?』
数分前に見つけたこの子。足が疲れているようで、梃子でもここから動いてくれない。これじゃあ、落とし物とか迷子を担当する、落とし物係のところに行けない。
『少し歩けば係の人いるから!ちょっとだけ…』
「やだやだやだぁ!!!うわぁ〜ん!」
ど、どうしたものだろうか…。木村先輩は人に呼ばれて別のところにいるし、泣き続けるこの子をあやすのに必死で落とし物係と連絡も取れない。誰も頼れない。私一人でなんとかしたくても、できない…。
『(私が、泣きそうだよ…)』
?「…春野さん?」
『…どなた、ですか?』
見上げるとそこには、甚平を着て髪をオールバックに一つ結びをした、綺麗な顔立ちの男性が立っていた。手には焼きそばと、イチゴ味らしきかき氷が握られている。
?「え…あ、僕だよ。紀元律」
『…。え!?紀元くん!?あ…いつもは前髪があるから、気づかなかった…』
まさかこんなにかっこよかったなんて…。
律「はは、父さんたちがせっかくの夏祭りなんだからって…。それより、その子は?」
『あ…迷子なんだけど、足が疲れてるみたいでここから動けないの…』
律「迷子は確か…落とし物係のとこだよね?その様子じゃ連絡も?」
『まだ出来てない…』
律「…。ちょっと待ってて」
紀元くんはそういうと人だかりの中に消えていった。ちょっと待って、ってどうする気だろう。
「ママ見つけに行く」
『え!?足、疲れてるんじゃないの!?』
「行く!!」
『ちょ、ちょっと待っ…!!』
だめだ!人だかりの中に入られたら…!!
律「はい、ちょっと待った」
『え…』
人だかりに消えそうなその子を、颯爽と抱き上げ紀元くんは私に手を差し出した。
律「春野さん、立てる?」
.
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みびみやこ(プロフ) - チックタックさん» コメントありがとうございます!書きたいことが多すぎて中々発展しなくて申し訳ないのですが、そう言ってくださると嬉しいです!こだわっていきたいと思います!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月23日 18時) (レス) @page42 id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
チックタック - 話の内容がすごく作りこまれている! (2021年9月23日 14時) (レス) @page43 id: b901e895c9 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 面白い!?!?ありがとうございます!少しずつではありますが進めていきます!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - すごくおもしろいです!無理のない範囲で更新頑張ってください (2021年9月17日 20時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - にら。さん» 返信遅くなり申し訳ございません。好きというコメントありがとうございます!これから定期的に更新していければと思いますので、読んで下さると嬉しいです!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月14日 18時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みびみやこ | 作成日時:2020年9月18日 23時