24話 さよならは言わない ページ25
背負わなければならない。
彼を奪った罪を
背負わなければならない
彼が生きるはずだった運命を
背負わなければならない
私が犯した”罰”を。
消えることのない傷は、癒える事はない。失ってしまったものは、もう元には戻らない
それが現実。それこそ与えられた使命
私はもう……狂い始めている
いや、もう狂っているかもしれない。
前世で妹が死んだ時から、私は私じゃあいられなくなったんだ
私は、” __ ”は死んだ
ここにいるのは、狂った人形。彼の居場所を奪った殺人鬼だけ
私は彼でもなく、彼になれなかった出来損ない
生きる意味なんて、ない
しかしそれでは世界は私を許してはくれない。私が物語を進めるのを、待っているのだ
物語で、私が死んでいくのを見ているのだ
だったら、
死んでやる。死んで妹のそばに入れるのならいくらでも死んでやる。
死ぬなんてもう怖くない。前世で味わった恐怖は確かに怖かった。生きるのは辛いのに、死ぬのはとても簡単で
とても呆気ない一瞬なのに、全部終わるんだ
それを、私は知っている
痛みも、悲しみも、怒りも、憎しみも、哀れみも、全部全部知ってる
ただ私は認めたくない
この現実を、本当は認めたくないんだ
でも弱気になってはダメだ
素を隠せ
情を消せ
感情なんて、捨ててしまえ
必要なのは武器になる頭脳。そして相手を仕留める技術、この二つさえあれば…どこへだって生きていける
死ぬことさえ許されないのなら、私は従わない
私は、全てを終わらして妹の元へ逝くのだ
それが、一番の願い
私の―――――――――――――
｢それじゃあ、Aちゃん。３日間どうもありがとう、とても楽しかったよ｣
笑顔で微笑みかけるのはハワイアンのTシャツが似合うマフィアの長
場所は空港。今日は彼が母国イタリアへと帰る日
昨日の夜の事はよく憶えていない。途中で眠ってしまった所まで覚えているが、それ以上のことは何もかもさっぱり
しかし朝起きれば子犬が尻尾を振りながら鳴いて私の傍に擦り寄うと私の傍を離れなかった。今現在も、私の腕の中に嵌っている
彼を見送るために、帰りはキャリーバッグを持った彼は私の頭をワシャワシャと撫で回した
｢君の人生は、君のもの。よく考えて、生きなさい｣
そう言って私達に背を向け、日本を旅立って行った。
(アンタもね、って)
(彼には届かない)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮@(プロフ) - 闇の道化師さん» ありがとうございます！喜んでもらえたのなら作者も嬉しいです。更新頑張りますね (2017年3月8日 18時) (
レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
闇の道化師 - こういう作品大好きなので頑張って欲しいです！これからも頑張ってください♪ (2017年3月7日 23時) (レス) id: a4c5ed2f5a (このIDを非表示/違反報告)
蓮@(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！楽しんでいただけるよう作者も頑張ります。 (2017年3月5日 22時) (レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - お返事ありがとうございます。私もハッピーエンド好きなので嬉しいです。更新頑張って下さいね。 (2017年3月5日 21時) (レス) id: f2e5b2371a (このIDを非表示/違反報告)
蓮@(プロフ) - (名前)さん» 落ちは決まっています！作者はハッピーエンドが好きなのでそうしようかなと思っています！一応話はシリアスメインですけどね (2017年3月5日 20時) (レス) id: 265fac0211 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
