ケージ:117 ページ21
「あいつらが垂らす蜜舐めるのはええけど、それ、罠やで。そのうちぱっくり丸ごといかれてまうで？
なあ、いつかAちゃん泣いとったね。優しいのが当たり前になったらダメになるって。対価をあいつらが求めんのが怖いんやろ？
対価はな、あるで。それはな、君自身や。」
「……！」
がつん、と脳が揺れるような衝撃を錯覚する。
どこか、心のどこか奥底で思っていた。
優しくされるたび、甘い言葉で絆されるたび、自分が自分では無くなってしまうような感覚。身を委ねてしまえば大切な何かが瓦解してしまうような予感。熱のこもった瞳に抱く、拭えない恐怖と得体の知れない不信感。伸ばされる手を拒絶してしまう理由。
___本当にこのままでいいの？
このままではいけない。私は、ずっとそう思っていたんだ。
___失った、と感じていた何かが戻ってきたような感覚だった。何もできない。そう言われて、がんじがらめにされていた思考が晴れていく感覚。
わたしは、____わたしのすべきことは。
「まあ、俺としてはどっちでもええんやけどね。ただ、若人には頑張って欲しいねんな。
……囚われのお姫さんでもよし、反逆のジャンヌダルクでもよし。決めるんはお前さんやで。」
くしゃりと私の髪をかきまぜると、どこまでも優しくしんぺい神さんは笑う。
「ただその銃口、向けるなら相手は選び。ええか。絶対に、間違えるなよ。フィクションやないねんからな。やり直しは、ナシやで。」
それから、と付け加える。無造作に机に放っていた雑面をとって、頭の後ろで紐を結うと静かに言った。
「ど〜…………うしても、やで。どうしても困って、どうもならんくなったら、俺のとこ、おいで。Aちゃんのこと、きっと助けたる。
俺は、かみさまやからね。」
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かぼちゃ(プロフ) - この作品大好きです。最高です。何度も読み返しています。主人公が可哀想で可愛い。仄暗さが最高です。更新いつまでも待ってます。 (9月29日 0時) (
レス) id: af8b6c02d3 (このIDを非表示/違反報告)
さく - 続きは何処…！ (2022年11月18日 7時) (レス) @page32 id: 77c841469d (このIDを非表示/違反報告)
バカふわ - 続きと結末が気になります！ (2022年9月27日 21時) (レス) @page32 id: 95afcd7436 (このIDを非表示/違反報告)
りこち(プロフ) - すきです！！とくにz脅威さんの台詞の吃り方が天才です！！！！すき！！！！ (2021年2月21日 15時) (レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
あか - とっても好きです！？！？！？！描写がとっても素敵で....更新ゆっくり待ってますね！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 2c4cbba459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年2月26日 20時
